2002 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌周術期の深部静脈血栓症・肺塞栓症の発生の分子機構とその予防法に関する研究
Project/Area Number |
14770615
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 正孝 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80335356)
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Keywords | 術後肺塞栓症 / 消化器癌 / 無症候性肺塞栓症 / 疫学調査 / 肺シンチグラム / マルチディテクターヘリカルCT / PIOPED分類 / 術後深部静脈血栓症 |
Research Abstract |
消化器癌(S状結腸癌,直腸癌,膵臓癌)患者を対象に,術後肺塞栓症発症率の検討を行った。肺シンチグラム(肺SPECT)を術前ならびに術後に施行し,術前の画像と比べて肺塞栓症を疑う症例に対しては造影マルチディテクターヘリカルCT(MDCT)を行い確定診断をつけた。肺塞栓症の診断基準はPIOPED(prospective investigation of pulmonary embolism diagnosis)分類に従った。31症例全例に術前・術後に肺SPECT検査を行い,PIOPED分類でlow probability以上の所見を得た症例は9例(29%)あり,全例にMDCTを施行した。4例(13%)が肺塞栓症と診断され,4例中2例に臨床症状を認めた。また残り5例はMDCTでは血栓の確認が出来なかったが,術前の画像所見と比較して明らかに欠損像を認め無症候性の肺塞栓症が発症していたと考えられた。以上より31例中9例(29%)に無症候性も含めた術後肺塞栓症が発症していると考えられた。 術後肺塞栓症の予測因子として血中D-dimer値,トロンビンアンチトロンビン複合体値,血小板値,活性化部分トロンボプラスチン時間,プトロンビン時間を術前より術後経時的に検査を行い,術後肺塞栓症予測因子を検討した。肺塞栓症症例において術前D-dimor値が有意に高値を示したことより,術前のD-dimer値が術後肺塞栓症予測因子となる可能性が示唆された。 現在はこの結果を受け,積極的な肺塞栓症予防が必要と考え,術後抗凝固剤を用いた同様の検討を行っている。
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