2002 Fiscal Year Annual Research Report
腸管大量切除の病態とその治療:小腸short-segment逆蠕動間置法の有用性の検討
Project/Area Number |
14770619
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
吉田 卓義 自治医科大学, 医学部, 助手 (60337350)
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Keywords | 逆蠕動間置 / 短腸症候群 / 自家小腸移植 |
Research Abstract |
小腸移植に変わる治療法として小腸short-segment逆蠕動間置法も検討されているが,基礎的研究や有用性についての報告は少ない.小腸short-segment逆蠕動間置法の有用性を実験的に検討した.方法:Wister系雄性ラット(体重250〜350g)を用い,エーテル麻酔下に下記の短腸ラットモデルを作成したA.短腸モデル〔短腸(S)群〕:小腸をトライツ靭帯直後(約1.5cm)より回盲部(約1.5cm)近傍まで亜全摘施行.残存小腸を端々吻合する.B.小腸逆蠕動間置モデル〔空腸間置(JR)群・回腸間置(IR)群〕:残存小腸(2cmのセグメント)を逆蠕動式に間置吻合する.間置する小腸は空腸または回腸を利用する.以上の3群において,生存率,血算生化学検査,便中総脂肪酸排泄量(Sulfo-phospho-vanillin法)を測定した.結果:S群(N=20)では,体重増加が不良で,長期生存例は(術後60日以上)はなかった.臨床的には,下痢,貧血.栄養状態不良を呈した.逆蠕動間置モデル群では,術後20日の時点ではJR群(N=20)85%(17/20),IR(N=20)85%(17/20)と生存率では,有意差を認めなかったが,長期生存例では,JR群66%(2/3),IR群100%(4/4)で、良好な体重増加率を示した.両群において、血算,生化学において,明らかな相違は認めなかった.便中総脂肪排泄量に関しては,正常無処置群(43mg)に比べ,S群(N=2)では108.2mg/gと増加したが,JR群(N=2)68.8mg/g,IR群間(N=2)59.9mg/gでは,増加は軽度であった.考察:逆蠕動間置群では,短腸群に比して,生存率,体重増加は良好であり,脂肪吸収能も優れていると考えられた.わずか2cmという小腸でも逆蠕動間置を行うことによって,長期生存可能であり、その有用性が示唆された.
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