2002 Fiscal Year Annual Research Report
二次元電気泳動法による乳癌におけるゲノム解析とその臨床的意義
Project/Area Number |
14770621
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
麻賀 創太 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00327529)
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Keywords | 乳癌 / 遺伝子解析 / 二次元電気泳動法 / メチル化 |
Research Abstract |
乳癌切除検体の癌部と非癌部から全ゲノムを抽出し、二次元電気泳動法を施行した。癌部と非癌部のスポット変化に着目し、特徴的な変化を示す十数個のスポットについてクローニングを行った。その結果、2つのスポットがGrowth factor receptor binding Protein 7(Grb7)遺伝子、ならびに5-hydroxytryptamine 6(5-HT6)遺伝子に一致した。二次元電気泳動法におけるスポット変化は、ゲノムの点突然変異、あるいはメチル化などを反映するものであり、遺伝子領域にそのような変化が起きた場合、遺伝子の発現、欠失に直接関与する可能性がある。このうち前者は文献的にも細胞内のtyrosine kinaseとの関与が知られており、上皮増殖因子に1つであるerbB2との関連も示唆されている。そこで、これらの遺伝子の発現について、乳癌細胞株MCF-7,MDA-MB231,MDA-MB435,T47D, BT20,SKBR3を対象に、RNAを抽出し、RT-PCR法で検討した。この結果、5-HT6については、すべての細胞株で発現を認めなかった。次に、Grb7については、MCF-7,MDA-MB231,MDA-MB435では発現を認めたものの、T47D, BT20, SKBR3では発現を認めなかった。つづいて、遺伝子発現の変化がメチル化によるものか、あるいは他の変異によるかを検討するため、細胞株に脱メチル化を誘導する薬剤である5-aza-2'-deoxycytidineによる処理を加え、同様にRNAを抽出、RT-PCR法により遺伝子変化を検討した。この結果、5-HT6,Grb7ともに遺伝子発現に薬剤処理による変化は認められず、5-HT6,あるいはGrb7の遺伝子発現の調節はメチル化ではなく、他の要因によるものと考えられた。
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