2002 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌におけるProtease activated receptorの役割解析
Project/Area Number |
14770636
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
廣野 靖夫 福井医科大学, 医学部附属病院, 助手 (10324154)
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Keywords | PAR / 大腸癌 / 胃癌 |
Research Abstract |
Protease activated receptor(PAR)はproteaseによって活性化されるG蛋白結合受容体として見出され,4種が同定されている.最近乳癌培養細胞においてPAR1が転移や浸潤に関与すると報告され,PAR familyが癌の進展にも大きな役割を果たしている可能性があると考え,まず胃癌・大腸癌におけるPAR familyの発現の検討を行った.PAR1発現をRT-PCRにより検討した.大腸癌切除症例71例において20例(28.2%)に癌部での発現亢進を認め,陽性とした.病期,漿膜浸潤,組織型,脈管侵襲,腹膜転移とは有意な相関は認めなかった.リンパ節転移陽性例にPAR1陽性例が多い傾向を認めた(p=0.051).また肝転移陽性例にPAR1陽性例が有意に多かった.更に,検討可能であった肝転移巣5病変は全てPAR1を発現していた.予後との関連は認めなかった.以上よりPAR1は大腸癌の転移,特に肝転移に関与している可能性があると考えられた.胃癌症例にも同様の検討を行ったが,臨床病理学的因子との相関は認めなかった.次に進行胃癌115症例に対して免疫染色にてRAR2発現を検討した.癌細胞の細胞膜および細胞質に発現を認め,40例(34.8%)において陽性を示した.一部の症例では先進部に特に強い発現を認めた.病期,分化度,肉眼型に相関を認めなかった.PAR2陽性例において脈管侵襲陽性例が多い傾向が認められた.肝転移,腹膜播種には関連を認めず,リンパ節転移は陽性例に多い傾向がみられた.予後については陽性例の方が生存率は低いものの有意差は認めなかった.PAR2は胃癌の進展に関わっている可能性が示唆された.また胃癌・大腸癌培養細胞株でPAR1,2の発現を多数に認めるため,今後蛋白発現の制御によって浸潤・転移・増殖能に及ぼす影響を検討していきたい.
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