2003 Fiscal Year Annual Research Report
原発性肝癌に対する生体肝移植の成績向上へ向けての総合的研究-----適応範囲,免疫抑制療法,抗癌剤使用,癌免疫の検討-----
Project/Area Number |
14770641
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小倉 靖弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (20335251)
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Keywords | 原発性肝癌 / 生体部分肝移植 / 術後成績 / 予後因子 |
Research Abstract |
現在,当科における原発性肝細胞癌の手術適応は,(a)遠隔転移を認めない,(b)大血管への侵襲を認めない,の二点である。しかしながら,原発性肝細胆癌の手術適応の世界的コンセンサスは得られておらず,各施設が独自の基準で,移植術を行っているのが現状である。今後,既存の病期分類による移植成績を調べるのみならず,その他に予後に関わる因子を解明すること,それらを術前・術後に評価可能かどうかを解明することは極めて重要である。 当科で施行された原発性肝癌に対する生体部分肝移植56例での検討において、TNM分類でStage I 8例、Stage II 13例、Stage III 5例、Stage IVa 30例であった。これらを、脳死肝移植の適応に用いられるMilan Criteria別に見ると、31例がCriteriaに合致、25例がCriteriaを満たさなかった。非癌患者と比べ全原発性肝癌患者3年生存率は65%と、成績の低下を認めた。 肝癌患者の予後因子を検討したところ、3年生存率で、Stage IVa : Stage I-III=42%:9.1%、stage IVa : stage I-III=40%:0%、vascular invasion(+):(-)=50%:4%、poorly>moderate>wellであり、病期の進行のほか、病理組織像も予後因子に大きく寄与していることが判明した。 予後因子がある程度明らかになってきたことで、今後、免疫染色法を用いた病理組織学的検索及び癌免疫からの視点で、検討を発展させていきたいと考えている。また、今後の適応範囲の決定の確立にfeedbackできると考えられる。
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