2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞外マトリックス分解酵素阻害分子による神経膠芽腫浸潤抑制の試み
Project/Area Number |
14770707
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中田 光俊 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (20334774)
|
Keywords | 神経膠芽腫 / 浸潤 / 細胞外マトリックス / MMP / testican |
Research Abstract |
【目的】我々は近年,gliomaの浸潤に関与する細胞外マトリックス分解酵素MT1-MMP (membrane type 1-matrix metalloproteinase)に対する抑制分子を脳細胞外マトリックスTestican family(TF)内に見出した(Cancer Res 61:8896-902,2001)。本研究ではTF間の相互作用およびヒトglioma組織におけるTFの発現および局在を検討した。【方法】MT1-MMP, MMP-2とともにTFの発現ベクターおよびdeletion mutantを293T細胞に遺伝子導入し,Zymographyと免疫沈降を行った。またWound assayによりglioma細胞株に対する浸潤抑制効果を検討した。Glioma 51例につき,ABI PRISM 7700を用いmRNA発現量を計測した。またin situ hybridizationを行った。【結果】MT1-MMP阻害効果を有しないT-2は同効果を有するT-1,T-3,N-Tesと結合することによりその働きを阻害することが分かった。その結合サイトはT-1,T-3,N-Tesのextracellular calcium binding (EC) domainとT-2のunique domainであった。N-TesのEC domainを欠失した変異体(Δ122)はMT1-MMPを抑制し,かつT-2との結合を逃れた。Wound assayの結果もこれと矛盾しない所見であった。またTFの発現量はいずれもglioblastomaで有意に低く,その局在はneuronで強く,腫瘍細胞では弱かった。発現量はTFのうちT-2で最も高かった。【結論】脳組織内に比較的多量に存在するT-2はT-1,T-3,N-TesのMT1-MMP阻害能を解除することによって浸潤を促進させる。Δ122は抗浸潤治療の候補分子になり得ることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Nakada M: "The role of matrix metalloproteinase on glioma invasion"Frontiers in Bioscience. (in press).
-
[Publications] 中田光俊: "MT1-MMP抑制分子;N-Tesの同定とグリオーマ浸潤抑制効果の解析"ポストシークエンス時代における脳腫瘍の研究と治療. 119-127 (2002)
-
[Publications] 高橋友哉, 中田光俊: "グリオーマにおけるADAMTS familyの発現について"ポストシークエンス時代における脳腫瘍の研究と治療. 135-140 (2002)