2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経上皮型幹細胞のドーパミン作動性神経細胞への分化誘導とパーキンソン病脳への移植
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14770720
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金井 隆一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50327532)
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Keywords | neuroepithelial stem cells / neural transplantation / functional effect / maturation |
Research Abstract |
(1)胎齢10.5日ラット中脳胞部神経板由来神経上皮型幹細胞を神経移植ドナーとしたパーキンソン病モデルラットへの脳内移植実験では、アンフェタミン誘発回転運動は移植後経時的に減少する傾向を認め、移植8週後にはほぼ回転運動がなくなり、障害神経機能の改善を認めた。また、培養液(DMEM)のみを注入した対照群と比べ、移植4週後より統計学的有意差を認めていた。神経上皮型幹細胞の移植片は損傷脳内でも長期に渡り生着は良好であり、移植8週後でもその存在が確認された。免疫組織化学的検討では、移植片内に多数のHu陽性である神経細胞を認めた。その一部はtyrosine hydroxylase(TH)陽性であり、移植後早期である移植2週後より多数存在していた。このTH陽性細胞は、移植2週後では神経突起が短い未熟な細胞であったが、ほぼ完全な神経機能回復を示す移植8週後には大きな細胞体と長い神経突起をもつ成熟した形態を示していた。以上より、神経上皮型幹細胞移植による神経機能回復には、ドナー由来TH陽性細胞数と成熟度が関与する可能性が示唆された。 (2)胎齢10.5日ラット中脳胞部神経板由来FGF-2反応性neurosphereに対し、Sonic hedgehog(Shh》およびFGF-8添加等の人為的修飾により、TH陽性細胞への効率的な分化誘導が可能であるか、免疫組織化学的検討を行ったが、現在の処、神経栄養因子添加群と血清添加群との間にTH発現に関して明らかな有意差を認めていない。細胞栄養因子の種類や添加時期、添加量等、少ない修飾操作にて神経上皮型幹細胞をTH陽性細胞へ最も効率的に分化誘導することが可能な培養条件の検討が必要である。
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