2003 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイドの神経に対する影響―局所投与による神経内血流の変化―
Project/Area Number |
14770740
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
宍戸 裕章 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90315664)
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Keywords | 神経内血流 / デキサメサゾン / 椎間板ヘルニア |
Research Abstract |
方法: S-D系雌ラット20匹を用い、深麻酔下に第5腰神経根を展開した。尾椎より採取した髄核を神経根上に設置し椎間板ヘルニアモデルを作成した。同時に、髄核を覆うように0.4%デキサメサゾンを浸したスポンゼルを設置した(ステロイド群)。対照として、髄核に生理食塩水を浸したスポンゼルを設置した(対照群)。以下の項目について検討した。1.神経内血流:レーザー・ドップラー血流計を用いて、薬剤設置前後の後根神経節の血流計測を5分毎に90分間行った。2.組織学的検討:血流計測終了後に後根神経節を採取し、組織標本を作製して神経細胞、軸索の形態および炎症性変化の有無を検討した。 結果: 1.神経内血流:対照群では、髄核と生理食塩水を含ませたスポンゼルを設置後に明らかな後根神経節内の血流減少が認められた。一方、ステロイド群では明らかな後根神経節内の血流減少は認められなかった。設置後90分の時点でみると、後根神経節内血流が対照群では、設置前に比し78.9%であった。ステロイド群では93.7%であった(p<0.05)。すなわち、ステロイド群では対照群と比して有意に後根神経節内血流の減少が抑制される。 2.組織学的検討:対照群では、ステロイド群に比して組織内の浮腫が顕著に認められた。 考察: デキサメサゾンによって髄核設置により惹起される後根神経節内血流の減少が抑制されることが明らかとなった。椎間板ヘルニアによって惹起される神経根の炎症に対するステロイドを用いた神経根ブロックの治療効果の発現機序である可能性が考えられる。
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