2003 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎椎間板ヘルニアの吸収促進と疼痛コントロールについて
Project/Area Number |
14770744
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
橋爪 洋 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10326382)
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Keywords | 椎間板ヘルニア / 自然経過 / 動物モデル / 神経因性疼痛 |
Research Abstract |
SDラット36匹を用い、次の3群を作成した。髄核+線維輪群(n=12):麻酔下ラットの尾椎を切断し、髄核と線維輪を含む椎間板を3x3mmの鋭利な円形刃で切り抜いて、それを同じラットのL5/6椎弓間からL5椎体の後硬膜外腔(左側のL5神経根上)に自家移植した。L5/6間の黄色靱帯は硬膜外腔への外部からの肉芽組織の進入を防止する目的で縦切開のみ行い温存した。線維輪群(n=12):同様に摘出した尾椎椎間板から線維輪のみを3x3mmの大きさで切り抜き。これを「髄核+線維輪群」と同じ方法でL5椎体の後硬膜外腔に自家移植した。Sham群(n=12):同様にラットの尾椎を切断し、L5/6間の黄色靱帯の切開のみを行った。各群ともに処置後7、14、21、28日で3匹ずつ屠殺(4%パラホルムアルデヒドで灌流固定)した。L5椎を摘出し椎間板を移植した部の脊柱管を観察すべく脱灰組織標本を作成し、H-E染色での形態計測と抗マクロファージ、抗IV型コラーゲン(新生血管の基底膜を認識)抗体を用いての免疫組織化学染色を行った。また、処置前と処置後1、3、7、14、21、28日に生存する全てのラットに対して10gのvon Freyフィラメントを用いてアロディニアの観察を行った。 髄核+線維輪群においては、後硬膜外腔に移植された自家椎間板組織は処置後2週より新生血管に囲まれて細片化し、マクロファージによる貧食と線維芽細胞の浸潤によって経時的に縮小、線維化した。炎症細胞の浸潤は2週が最も強くアロディニアの最大発現時期と一致していた。線維輪群では血管増生と炎症細胞の浸潤は比較的弱く、アロディニアの発現も弱かった。Sham群では硬膜外腔の炎症反応とアロディニアはいずれも観察されなかった。以上の結果は、椎間板ヘルニアの吸収過程は炎症反応そのものであり、神経因性疼痛と相関することを実証するものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hashizume H, et al.: "Comparison of neuropathic pain induced by the application of normal and mechanically compressed nucleus pulposus to lumbar nerve roots in the rat."J Orthop Res. 21(3). 535-539 (2003)
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[Publications] 橋爪 洋, ほか: "変性髄核による神経因性疼痛の発現機序-pHの関与について"日整会誌. 77(8). S1070 (2003)