2002 Fiscal Year Annual Research Report
膝十字靭帯再建術における骨孔内の骨―移植腱間の固着様式の解明と加速化に関する研究
Project/Area Number |
14770755
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
副島 崇 久留米大学, 医学部, 助手 (90279208)
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Keywords | 前十字靭帯再建術 / 骨-移植腱移行部 / 骨孔内治癒過程 / 粘着フィルム法 |
Research Abstract |
膝前十字靭帯再建術では脛骨/大腿骨に骨孔を穿ち遊離腱を移植するため、骨孔内での骨-移植腱の固着様式の解明と加速化が急務である。しかし、従来の脱灰標本による組織変化の観察では、発現している種々の蛋白や遺伝子を観察する事は困難であるため、healing processさえ未だに明らかにされていない。近年、硬組織を脱灰させずに凍結薄切を可能とする粘着フィルム法(Histochemistry & Cell Biology.113:331-339,2000)が開発され、本術式における骨-移植腱間の固着様式を免疫化学的に解析できる可能性が出てきた。そこで、本研究では、まず、凍結粘着フィルム法を用いて、これまで不可能であった骨孔内の骨-移植腱間の固着様式を免疫組織学的に明らかにする事を目的とした。 日本白色家兎(10羽)に対して、麻酔下に前十字靭帯再建術を行い、術後1および2週で安楽死させた。まず、粘着フィルム法による凍結薄切標本を作成し、H.E染色による従来の脱灰法との検証実験を行った。術後1週の超早期での粘着フィルム法による凍結切片は、interface tissueがまだ未成熟なため、5例中3例に染色手技中に標本の破たんが生じた。術後2週の時点では、両手法いずれにおいても、移植腱と骨孔内壁の間がhypercellularなgranulation tissueで埋められ、少量のosteoblastの出現も確認された。このため、現在、術後2週以上の組織を用いて、骨孔内の骨-移植腱間interfaceにおける各種発言蛋白(BMP,TGF-γ,VEGF,FGFなど)の免疫組織学的検索を行っている。また、術後2週以内の超早期の変化も臨床上極めて重要であるため、組織作成手技を改良している。
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