2002 Fiscal Year Annual Research Report
Peripheral nerve stimulationによる鎮痛効果について
Project/Area Number |
14770770
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 隆弥 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00335358)
|
Keywords | 神経因性疼痛 / LTP(Long term potentiation) / LTD(long term depression) / 末梢神経刺激 |
Research Abstract |
神経因性疼痛は治療に難渋する場合が多く、神経因性疼痛の発症メカニズムの解明とともに、種々の薬物を用いた治療法、神経刺激療法についての研究がされつつある。近年の動物を用いた神経因性疼痛の研究によりLTP(Long term potentiation)とLTD(long term depression)というシナプス伝達が痛みのメカニズムに関連している事が分かってきた。最近の研究により末梢神経刺激によりLTDが発生しLTPを長時間において抑制したという現象がある。そこで我々は神経刺激治療とLTDに着目し、神経損傷後疼痛の実験的動物モデルを用い、末梢神経刺激の疼痛行動抑制効果があるかどうかの検討を行なった。雄性SDラット(8週令、250g)を使用し、Benetteの方法に従い、神経を結紮する。術後3日目より、左足は熱や機械刺激に対して過敏となり、足底を床に着けないような屈曲変性が出現し、体重もあまり患側肢にかけない様になる。この結紮側をinjuryサイドとし、右側は剥離操作のみのcontrolサイドとする。神経結紮1週間後より、2%ハロセン吸入下に左傷害足末梢への経皮的電気刺激[1Hz、12mAを999発]を1日1回、連続5日間行い、その後の疼痛行動に与える影響を処置後1、3、7、14日目に調査した。疼痛行動の評価にはHeat hyperalgesiaを用い、両後肢の逃避潜時と、その逃避潜の差で求められるdifference scoreにより行った。その結果、吸入麻酔下に電気刺激を行なった群においては、吸入麻酔のみで電気刺激を行なわなかった群と比較して、神経障害によって低下した疼痛反応閾値を7日間有意に改善した。また、吸入麻酔のみを与えた群とまったく何もあたえなかった群との比較では、両者に有意な差はなかった。このことより連続した末梢神経刺激により長期における鎮痛効果があることが明らかとなった。
|