2003 Fiscal Year Annual Research Report
局所麻酔薬の中枢神経作用-マイクロダイアライシス法を用いた脳内薬物動態の解明
Project/Area Number |
14770785
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中筋 正人 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90295692)
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Keywords | マイクロダイアライシス / リドカイン / エピネフィリン |
Research Abstract |
ラット(Sprague-Dawley系、male)を用いてマイクロダイアライシスモデルを作成し、脳細胞外液中の局所麻酔薬の濃度の定量を試みた。本モデルはマイクロダイアライシスプローブに加えて頚動静脈へのカテーテルの留置も行われているため、血中及び脳細胞外液中の濃度の定量が同時に行えるのが特徴である。本モデルを用いた実験の結果、静脈内投与されたリドカインについては、末梢血液中と脳内で、ほぼ同様の濃度の変化が生ずることが明らかになった。また、リドカインにエピネフィリンを加えた場合は末梢血液中・脳内ともにリドカインの血中濃度の上昇速度が速くなり、エピネフィリンによる局所麻酔薬の中枢神経毒性が亢進するという、従来からの報告が、そのメカニズムとともに裏付けられた(Funao T and Oda Y, Pharmacokinetics of lidocaine in the brain-an in vivo microdialysis study.2004 World Congress of Anesthesia, Paris, Franceで発表予定)。 本モデルの作成法は以下の通りである。先ずケタミンの腹腔内投与による全身麻酔下で、動静脈にカテーテルを留置した。頚部を切開して頚動静脈を周囲組織から剥離し、カットダウン法でポリエチレンカテーテル(動脈:PE-50、Beckton-Deckinson、静脈:SP-31、夏目製作所)を挿入した。これらのカテーテルは皮下を通じて背部より体外に出し、ループを作成した後にプラスチックの蓋で覆った。この後、マイクロダイアライシスプローブの留置のため、ラットを定位脳固定装置(ナリシゲ)に固定した。頭部の皮膚を切開し、骨膜を十分に剥離した後にbregmaの1.7mm前方、1.4mm外側に電動ドリル(0.5mm)で穴を開け、マイクロダイアライシス用ガイドカニューレ(AG-12、エイコム)を深さ7mm迄挿入した。ガイドカニューレにはダミーカテーテル(AD-12、エイコム)を入れて密封し、この後頭蓋骨に埋め込んだアンカービスとともに歯科用セメント(ジーシーユニファストII、ジーシー)で固定を行った。セメントが乾燥して完全に固まったことを確認の上ラットを覚醒させ、マイクロダイアライシス実験は2-3日後に行った。実験当日はラットに対して前述の方法で全身麻酔を行い、背部の蓋を取り除いて動静脈のカテーテルをシリンジに接続した後にダミーカテーテルを取り除いて透析用プローブ(A-I-12-02、エイコム)を挿入し、人工脳脊髄液(電解質組成:Na147、K4、Ca2.3、Cl155.6mM)で灌流を開始した。定量は高速液体クロマトグラフを用い、移動相は25%メタノールを含む10mM NaH_2PO_4(pH4.5)とし、温度は室温で流量は0.6ml/minとし、電気化学検出器で950mVで検出を行った。
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