2002 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン非依存性糖尿病に対する低酸素時脳血流維持機構と麻酔薬作用に関する研究
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14770786
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木本 吉紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (20316110)
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Keywords | ラット / 糖尿病 / 頚動脈 / 低酸素性血管弛緩反応 / カリウムチャネル |
Research Abstract |
平成14年度は,糖尿病(OLETF)および対照(LE)ラットが予定供給元からの入荷が不可能であった(平成15年度は可能である予定).そのため,ウイスターラット頚動脈で,低酸素性血管弛緩反応におけるカリウムチャネルの役割とこれに及ぼす麻酔薬の影響を検討した. 1.ラット頚動脈での低酸素性血管弛緩反応とカリウムチャネルの役割 フェニレフリンでラット頚動脈を収縮させ,低酸素状態(PO_2=54mmHg)に暴露すると48.8±10.9%弛緩した.この血管弛緩反応は,選択的ATP感受性カリウムチャネル拮抗薬である,グリベンクラミド(5×10^<-6>M)で32.28±9.3%の弛緩反応へと有意に抑制された.しかし,その他のカリウムチャネル拮抗薬(内向き整流[BaCl_2,10^<-5>M],電位依存性[4-aminopyridine,10^<-3>M],large-conductanceカルシウム依存性[iberiotoxin,10^<-7>M,small-conductanceカルシウム依存性[apamine,10^<-7>M])は,低酸素による血管弛緩反応には影響しなかった. 2.臨床濃度の局所麻酔薬(リドカイン)がラット頚動脈の低酸素性血管弛緩反応におよぼす影響 ATP感受性カリウムチャネル開口薬であるレブクロマカリムは,濃度依存性にラット頚動脈を弛緩させた.この弛緩反応は,グリベンクラミド(5×10^<-6>M)で完全に抑制された.リドカイン(10^<-5>-10^<-4>M)は,濃度依存性にレブクロマカリムによる血管弛緩反応を抑制したが,低酸素性血管弛緩反応には影響しなかった. 以上より,ラット頚動脈の低酸素性血管弛緩反応は,一部ATP感受性カリウムチャネルを介するが,他のカリウムチャネルはこれに関与しないことが明らかとなった.一方,局所麻酔薬リドカインは,濃度依存性にATP感受性カリウムチャネル開口薬による血管弛緩反応を抑制するが,低酸素性血管弛緩反応は影響しなかったことから,リドカインは,開口薬および低酸素によるATP感受性カリウムチャネルを介する曲管弛緩反応に異なった機序で影響を与えるものと推察される.
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Research Products
(1 results)