2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛モデルに於ける感覚神経膜電位の変化とそれに及ぼすギャバペンチンの影響
Project/Area Number |
14770789
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
金井 昭文 北里大学, 医学部, 助手 (90286344)
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Keywords | 神経因性疼痛 / 感覚神経膜電位 / ギャバペンチン |
Research Abstract |
難治性として知られる神経因性疼痛の発症メカニズムはいまだ不明である。最近、発症メカニズムとして、感覚神経細胞内のカルシウムの低下が神経の過敏性を亢進させていることが示唆されているが、神経因性疼痛に対して鎮痛効果の高いリドカインの作用機序は神経細胞内ヘカルシウムを流入させることで達成される可能性が高いことが、我々の研究で明らかになった。また、我々は、ラットの神経因性疼痛モデルと健康ラットの膜電位の間にいくつかの相違点を見つけた。それは神経細胞内のカルシウムの低下を疑わせるものであった。最近の米国では新しい抗けいれん薬であるギャバペンチンが神経因性疼痛に有効であることが実験的かつ臨床的に示されている。その作用機序も不明であり、これを解明することが、今回の研究目的の一つであったが、まだ完全には解明できていない。そこで我々は、神経因性疼痛の発症に関与する中心的部位と考えられている脊髄を周囲している脳脊髄液に注目し、神経因性疼痛患者と痛みを有さない患者の脳脊髄液の研究を進めた。これにより、神経因性疼痛患者の脳脊髄液中のカルシウムは低下していることを発見した。さらに、脳脊髄液においては酸素分圧の低下と二酸化炭素分圧の上昇を認め、神経組織への血流低下が発症メカニズムの一つであることも疑われた。血管拡張作用から局所血流を改善させるプロスタンジンE1の投与で種々の神経因性疼痛が緩和されることを臨床データとしてまとめ、学会発表した。その他、ナトリウム濃度の相違も見出し、異所性ナトリウムチャンネルの増加が神経因性疼痛の発症に関与するとした過去の報告に一致した。これらの結果は神経因性疼痛の発症メカニズムを解明する上で重要である。また、ギャバペンチンの作用機序を考える上でも役立っている。
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