2002 Fiscal Year Annual Research Report
抗T細胞抗体と骨髄非破壊性同種骨髄移植を併用した免疫寛容誘導のための研究
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14770829
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾本 和也 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90343558)
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Keywords | 骨髄移植 / 免疫寛容 / マウス / キメラ |
Research Abstract |
骨髄非破壊処置として何を用いるかが問題になるが、実際の臨床でも用いられている、ブスルファン、イフォマイドを用いた。ブスルファンのみでもキメラの形成が可能であったが、個々のレシピエントマウスでばらつきがあるため、両者を併用してみたところ、比較的安定したキメラを形成することができた。また、骨髄細胞の投与量も1X10^6個から2X10^7個まで検討したが、1X10^7個でもキメラ形成が可能であるが、2X10^7個の投与量が安定したキメラを形成できるため、この投与量を選択した。 皮膚移植片生着に関して、無処置B6においては全例が、10日以内にBALB/cの皮膚移植片を拒絶した(n=4)。これに対し、全ての処置をおこなったB6は6例中5例が移植後約100日間、BALB/cの皮膚移植片を生着可能だった。加えて、この全ての処置をおこなったB6において、third partyのCBA/Jの皮膚移植を行った群では、無処置B6と比較して延長効果はあるものの、全例が約70日以内にCBA/Jの皮膚移植片を拒絶した。このthird partyのCBA/Jの皮膚移植片を拒絶したマウスの末梢血中にもBALB/cの白血球が検出できることから、このプロトコールによってドナー特異的に免疫応答反応が低下していると考えられた。 副作用についてはブスルファン、イフオスファマイド投与によって、食欲低下や飲水低下に起因する体重減少が投与開始後5日間続いたが、その後は無処置のB6と同じレベルまで回復し、両者に統計学的な有意差を認めなかった。骨髄移植を行わなくても、同様な経過をたどることから、このプロトコールは骨髄非破壊的処置の一つでもあるといえる。
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