2002 Fiscal Year Annual Research Report
産婦人科悪性腫瘍手術における血漿成分貯血を目的とする新しい自己血貯血法確立の試み
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14770837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三木 明徳 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50316767)
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Keywords | 自己血貯血 / 婦人科悪性腫瘍 / 成分採血 / エリスロポイエチン |
Research Abstract |
本年度は、婦人科悪性腫瘍手術に適した自己血貯血法の確立を行い、その安全性の評価を行なった。自己血貯血を適応するための、患者の条件を、血中ヘモグロビン濃度10.0g/dl以上、血清アルブミン濃度3.3g/dl以上、プロトロンビン時間80%以上,大量腹水(1000ml以上)なし、患者状態良好、とした。一回毎の貯血方法は、まず静脈血500mlを貯血バッグに採血し、バッグごと遠心分離する。上清の血漿を別のバッグに移した後、残った血球成分を患者に、もどし輸血した。再度、静脈血500mlを貯血バッグに採血し、バッグごと遠心分離、上清の血漿を別のバッグに移した。計2バッグの血漿は新鮮凍結血漿として、冷凍保存した。血球成分は、濃厚赤血球として、冷蔵保存した。貯血は、手術決定直後に開始、1週間毎に行なった。採血ごとに、リコンビナント・エリスロポイエチン24000単位を皮下注射し、同時に鉄剤を服用させた。この方法により、血液500-1500mlぶんの濃厚赤血球と、血液1000-3000mlぶんの新鮮凍結血漿を保存できた。次にこの貯血方法の安全性を調べるために、貯血毎に患者の血中ヘモグロビン濃度、血清アルブミン濃度、血漿中フィブリノゲン濃度を測定した。ヘモグロビン濃度とアルブミン濃度は、採血ごとに少しずつ低下したが、採血に支障を来たすほどの低下を示す患者は存在しなかった。フィブリノゲン濃度は変化しなかった。以上より、今回確立した貯血方法は、血球成分の2倍量の血漿を保存可能で、卵巣癌をはじめとする婦人科悪性腫瘍の手術に適しており、かつ安全であることが示された。
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