2002 Fiscal Year Annual Research Report
子宮胎盤循環障害における細胞増殖因子の発現に関する検討
Project/Area Number |
14770867
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮越 敬 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70265883)
|
Keywords | ラット / 子宮内胎児発育遅延 / 胎盤 / vascular endothelial growth factor / Placental growth factor |
Research Abstract |
ラット子宮内胎児発育遅延モデルの子宮・胎盤におけるvascular endothelial growth factor(VEGF)およびPlacental growth factor(PlGF)の発現の検討 [実験方法] 既報の方法により、ハロセン麻酔下に妊娠17日目のS/Dラットを開腹し、片側子宮角において血管クリップを用いて子宮胎盤循環の30分間の血流遮断を行い、妊娠21日目に帝王切開にて両側子宮角の胎仔、子宮・胎盤を摘出した。 (1)血流遮断側および血流非遮断側の胎仔重量を計測し、血流遮断側の子宮内胎児発育遅延の発症を確認した。 (2)子宮・胎盤の新鮮凍結切片を用いて抗ラットVEGFモノクローナル抗体(anti-VEGF MoAb)および抗ラットPlGFモノクローナル抗体(anti-PlGF MoAb)による免疫染色を行った。 [結果] (1)血流非遮断側および血流遮断側のラット胎仔重量は、それぞれ3.684±0.161、3.191±0.072であり血流遮断側において胎児発育遅延が確認された。また、血流非遮断側および血流遮断側の胎盤重量は、それぞれ0.421±0.002、0.349±0.002であり血流遮断側の胎盤重量の減少が認められた。 (2)胎盤のtrophoblast giant cellにおいてVEGFおよびPlGFの発現が認められた。血流非遮断側に比べ血流遮断側においてVEGFの発現の増強が認められた。一方、PlGFの発現は血流非遮断側に比べ血流遮断側において減弱していた。 [考察] 胎盤のtrophoblastgiant cellにおけるVEGFの発現増強およびPlGFの発現減弱は、胎児発育遅延の発症に関与しているものと考えられる。今後、VEGFおよびPlGFの発現の経時的変化について検討する予定である。
|