2003 Fiscal Year Annual Research Report
IL-2レセプターβ鎖を中心とした胎盤形成の免疫学的制御機構について
Project/Area Number |
14770874
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
日下部 健 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20319536)
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Keywords | IL-2レセプターβ群 / 子宮内膜増殖症 / エストロジェン / マクロファージ / 疾患モデルマウス |
Research Abstract |
IL-2レセプターβ鎖(IL2Rβ)を過剰発現するTg2Rβマウスは妊娠率が通常の約15%で、新生仔数も約半分に減少している。前年度でTg2Rβマウスに子宮内膜増殖症が好発していることを示したが、本年度ではその病態と子宮内免疫環境について更に検討した。 Tg2Rβマウスの子宮内膜増殖症の発症頻度は若齢期(8〜12週齢)では野性型と同レベルであったが、24週齢になると約2倍に上昇した。40週齢以上の老齢期では、Tg2Rβマウスの発症頻度は83.3%であった(野性型は50.0%)。また、病変部の腺上皮細胞は増殖マーカーのPCNAを高発現していることが示された。血清中のエストラジオール濃度は、若齢期では野性型:12,80±7,23pg/ml、Tg2Rβ:12.85±6.43pg/mlで差異は無く、加齢に連れて両マウス共にレベルは低下した。しかし、Tg2Rβマウスでその低下傾向は特に強く、老齢期で野性型:8.00±5.72pg/ml、Tg2Rβ:5.43±0.61pg/mlであった。一方、内膜の増殖を促すエストロジェンレセプターαはTg2Rβマウスの子宮で強く検出された。 IL2Rβの子宮内発現は、Tg2Rβマウスで約3倍強く検出された。免疫染色の結果から、IL2Rβ陽性反応は間質に認められたが、間質中のLy49陽性細胞は両マウスで差異が無く、IL2Rβ陽性細胞はNK細胞に一致しないと思われた。一方、24週齢のTg2Rβマウスの子宮でF4/80抗原が強く検出されたことから、病変部の子宮にはマクロファージが多数出現していると考えられた。 Tg2Rβマウスは子宮内膜増殖症を高頻度で加齢性に自然発症し、疾患モデルとして有効であると考えられた。また、その発症にはIL-2とマクロファージの作用がkey factorであることが予測された。
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