2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生を分子標的とした婦人科癌の発育・進展機序とその制御
Project/Area Number |
14770875
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
寺井 義人 大阪医科大学, 医学部, 助手 (90278531)
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Keywords | 血管新生 / VEGF / 婦人科癌 / 子宮頸癌 / 子宮体癌 / 卵巣癌 / 転移 / 浸潤 |
Research Abstract |
「目的」近年婦人科癌においても発育・進展と腫瘍血管新生との関連性が注目されており、その制御が課題になっている。本年度我々は、血管新生因子であるvascular endothelial growth factor(VEGF)のレセプターFlt-1,KDR中和抗体の生物学的効果を検討し、婦人科癌におけるVEGFレセプターの働きについて検討した。「方法」婦人科癌培養細胞株16株および臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)でのVEGF、VEGF receptorの遺伝子発現を解析し、HUVECを使用して、VEGF receptor抗体の機能解析とその細胞内シグナル伝達への影響を解析した。さらに、VEGF receptorを発現している子宮頸癌細胞株OMC-4および発現していない子宮頸癌細胞株SKG-IIを用い、Flt-1,KDR中和抗体を添加し、浸潤能をHaptoinvasion assay法で、増殖能をMTT assay法を用い、その影響を検討した。「成績」婦人科癌培養細胞株16株では、KDRの発現を見た細胞株はなかったが、Flt-1は3株で発現を認めた。HUVECにおいて、Flt-1の中和抗体は遊走能を、KDRの中和抗体は増殖能を濃度依存的に抑制する事が判明した。一方、婦人科癌細胞株において、SKG-IIは、Flt-1,KDR中和抗体の添加によって増殖、浸潤能に影響はなかったが、OMC-4では、Flt-1中和抗体の添加によって、その浸潤を抑制できた。「結論」VEGF receptor抗体は血管内皮細胞をターゲットとした血管新生療法に有用な分子標的となり得るだけでなく婦人科癌の浸潤・転移と密接に関連し、その進展制御の可能性が示された。現在、婦人科癌細胞におけるVEGFの細胞内シグナル伝達の解明をwestern blot法によって検討している。来年度は、さらにシグナル伝達を解明し、VEGF受容体中和抗体による癌の浸潤転移機序に関して解明し、新規血管新生抑制因子のF-spondinによる遺伝子治療の可能性について検討を進める。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 植田 政嗣: "子宮頸癌の浸潤・転移とその制御"日本婦人科腫瘍学会誌. 20・3. 395-404 (2002)
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[Publications] Ueda M.: "Survivin Gene Expression in Endometriosis"The Jounal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 87・7. 3452-3459 (2002)
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[Publications] 植木 實: "腫瘍内血管新生制御に関する研究"日本婦人科腫瘍学会誌. 20・2. 222-228 (2002)
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[Publications] 寺井 義人: "進行子宮頸癌に対する動注化学療法の効果と問題点"日本婦人科腫瘍学会誌. 21・1. 26-30 (2003)