2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770876
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
鍔本 浩志 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (80340975)
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Keywords | 抗精子抗体 / 不妊症 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
[目的] 無処置のマウスより抗精子抗体産生ハイブリドーマを作成し、その抗体を解析し杭精子抗体産生の原因を検討した。 [方法と成績] 1.ハイブリドーマの樹立 約52週齢の老齢マウスC57BLxDBF1より採取した脾細胞とSP2/0細胞よりハイブリドーマを作成し、メタノール固定した精子に反応するモノクローナル抗体を産生するクローンを2種Ts-3,TS-4作成した。各々IgA(κ)、IgM(κ)であった。 2.モノクローナル抗体の精子結合部位、および抗原の組織特異性 蛍光抗体法にて、Ts-3抗体はホルマリン固定した精子および運動精子の尾部に結合し、組織免疫染色にて精巣、肝、腎、脾、心臓、子宮など組織非特異的な結合を示した。一方Ts-4抗体はホルマリン固定した精子の先体のみに結合し、組織免疫染色では生殖細胞より分化した生殖細胞のみと結合し、他臓器組織との結合を認めなかった。Western blot検査でも同様にTs-3抗体は多臓器より抽出した蛋白の各々に多数のバンドを検出したが、Ts-4は精巣から抽出した蛋白とのみ反応した。 3.Ts-3モノクローナル抗体の対応抗原 Western blot検査でマウス多臓器由来の抽出蛋白に対して多数のバンドが認められたほか、大腸歯βガラクトシダーゼとも反応した。 4.Ts-4モノクローナル抗体の対応抗原 精巣より抽出した蛋白を2次元電気泳動し、Western blot検査にて結合する蛋白をフリードマン按にてアミノ酸分析を行った。N末端10アミノ酸はTYCQVSQTLSLEDDであった。このシークエンスはTES101と同一であった。 [結論] 抗精子抗体は老齢マウスにおいて自然産生された。IgA抗体であったTs-3抗体は、外来抗原である大腸菌蛋白とも反応することから、泌尿生殖器系における粘膜免疫により感作され、自己抗原、精子抗原に反応するようになった可能他が示唆された。また、IgM抗体であったTs-4抗体はすでに報告されている精子先体特異抗原であるTES101と特異的に反応しており、精子特異抗体が自然産生されることが判明した。
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