2002 Fiscal Year Annual Research Report
聴性定常反応を用いた他覚的聴力検査法の開発と小児難聴診療への活用
Project/Area Number |
14770923
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
原田 竜彦 東海大学, 医学部, 講師 (60238186)
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Keywords | 聴覚検査 / 聴性誘発反応 / 聴性定常反応 |
Research Abstract |
トロント大(カナダ)の協力により、聴性定常反応測定専用生体アンプおよびソフトウエア(MASTER)の有償提供を受け、これとパーソナルコンピュータ・音声信号入出力用PCカード・インサートイヤホン・生体用電極から構成される聴性定常反応検査装置を作成した。この装置を用いて、現時点までに正常聴力成人5名を対象として試験測定を行った。 測定システムでは、左右それぞれの耳から聴覚閾値を測定したい周波数(基準周波数)の純音に振幅変調と周波数変調をかけた刺激音を音響刺激として発生させ、その際に測定された脳波を周波数解析し振幅変調周波数に一致した脳波変動の有無を定量的に評価している。周波数変調は10%で一定とするが、振幅変調周波数を異なった値とすることにより、複数の基準周波数ならびに左右同時に一度に測定できることが本システムの特長である。実際の測定では、左耳は500Hz・1000Hz・2000Hz・4000Hz、右耳は750Hz,1500Hz,3000Hz,6000Hzを基準周波数とし、振幅変調周波数は80-100Hzの範囲内で設定し測定を行った。 測定結果では、5名のうち2名ではすべての基準周波数について刺激音圧を低下させると振幅変調周波数の脳波成分が減弱してゆく傾向を確認することができた。残り3名では、刺激音圧と振幅変調周波数成分の関係に一定の傾向は認められなかった。これら3名で結果が不良であった理由として、電極インピーダンスが高かったことが考えられた。臨床応用の対象となる小児では一般にインピーダンス低いため、測定が可能となる率は高くなると考えるが、さらに記録条件の改善を目指したい。また、良好な結果が得られた2名についても基準周波数により振幅変調周波数の脳波成分の大きさは異なっており、聴覚閾値の判定基準についてもさらに検討してゆく。
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