2002 Fiscal Year Annual Research Report
外リンパ特異的蛋白を用いた新しい外リンパ瘻診断法の開発
Project/Area Number |
14770928
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
齊藤 明彦 日本医科大学, 医学部, 助手 (30318498)
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Keywords | 外リンパ瘻 / ウェスタンブロッティング / 診断試薬 / 急性感音難聴 |
Research Abstract |
我々は、内耳蛋白のプロテオーム解析(2次元電気泳動を用いた解析)を行った。特にCOCH遺伝子(常染色体優性遺伝性難聴の一つであるDFNA9の責任遺伝子)の蛋白解析を行い、Cochlinのアイソフォームを同定し報告した。さらに、外リンパの解析を行ったところ、63kDa蛋白のN末端のLCCLモチーフに相当する部分が外リンパ中に検出された。この蛋白をPLP16K(=perilymph protein 16kDa)と名づけた。CochlinはCOCH遺伝子産物の名称である。COCH遺伝子はもともと脳組織と内耳組織のsubtraction libraryによって発見されたことから、内耳特異性の高い遺伝子であることが予測される。そこで、この蛋白が急性感音難聴の原因疾患の一つ、外リンパ瘻の診断に有用である可能性を検討中である。 現在、ヒト外リンパ、脳脊髄液、血液、唾液、滲出性中耳炎滲出液、慢性中耳炎の耳漏などのサンプルを採取、保存している。さらに、今まで明らかになっているPLP16K蛋白の部分配列を元に抗PLP16K蛋白抗体を合計4種類作成し、ヒト外リンパを陽性コントロールとして各抗体の反応性を確認中である。ウェスタンブロッティングには、還元条件下、非還元条件下の2種類の実験条件を設定し各抗体による抗原検出の感度、特異性を検討中である。今後これらの結果を元に、人工内耳手術例や明らかな外リンパ瘻症例で得られる中耳洗浄液を利用し、そこに含まれるPLP16K蛋白量を測定し、実際の臨床に応用できるか検討を行う。
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