2003 Fiscal Year Annual Research Report
外リンパ特異的蛋白を用いた新しい外リンパ瘻診断法の開発
Project/Area Number |
14770928
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
齊藤 明彦 日本医科大学, 医学部, 助手 (30318498)
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Keywords | 外リンパ瘻 / ウェスタンブロッティング / 診断試薬 |
Research Abstract |
β2Transferrin(髄液瘻の診断蛋白としてすでに確立し普及している)は、血清中には含まれないことから外リンパ瘻の診断にも応用できるのではないかと期待され、最も論文報告が多い物質である。しかし、近年人工内耳埋め込み術、アブミ骨手術、聴神経腫瘍手術で採取された外リンパそのものにβ2Transferrinが含まれるかを検査した結果が報告され、Levensonらは1996年に13検体中11例が陰性、Buchmanらは1999年に20検体中19検体が陰性であったと報告した。さらにRauchは2000年により精度の高い検査法で20検体の外リンパを検査し、陽性は1例も無かったと報告した。このように現在のところβ2Transferrinは外リンパ瘻を診断することは出来ないと考えられている。 一方、我々は、内耳蛋白のプロテオーム解析(2次元電気泳動を用いた解析)を行った。内耳蛋白の中でも特にCOCH遺伝子の蛋白解析を行い、Cochlinのアイソフォームを同定し報告した。さらに、ヒト外リンパを抗CochlinのLCCL motif-N末端・C末端抗体を用いて解析したところ、約16kDaに明瞭な細目のバンドが検出され、これはCochlin-Tomoprotein(CTP)と考えられた。 今回、臨床サンプルにCTPが含まれているかどうか検討した。その結果、ヒト外リンパ(人工内耳、アブミ骨手術、半規管瘻孔の術中に得られたサンプル)では11例中全症例明らかな陽性だった。アブミ骨開窓術直前の中耳洗浄液、慢性中耳炎、滲出性中耳炎合計8症例は全例陰性だった。また、脳脊髄液、血液、唾液にも陰性であった。我々のデーターはCTPが外リンパ特異的であり、しかも外リンパ中のCTP陽性率が100%であることを示しており外リンパ瘻の診断に非常に有用であることを示している。現在さらなる臨床的検討を進めている。
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