2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラット慢性高眼圧モデルにおける熱ショック蛋白の発現
Project/Area Number |
14770951
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
澤田 明 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (80293570)
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Keywords | 眼圧上昇モデル / 網膜神経節細胞死 / 熱ショック蛋白 |
Research Abstract |
上強膜静脈焼灼によるラット眼圧上昇モデルを作製し、このモデルの評価をニューマトノメーターによる眼圧測定及び生存網膜神経節細胞数のカウントにて施行した。また本モデルを用いて、熱ショック蛋白質(Heat shock protein : HSP)のうちHSP70ファミリーのHSP70およびHSC70の発現の経時的変化について検討した。 眼圧測定は、モデル作製後4日、1週間、2週間、1ヶ月後は1ヶ月毎に施行した。ラット覚醒時の眼圧(午後)は、術後4日には33.8mmHgと対照眼(21.0mmHg)と比較し上昇しており、さらに6ヶ月後においても31.8mmHgと眼圧上昇は観察期間中ずっと持続していた。 眼圧上昇により誘導される網膜神経節細胞死は、モデル作製後3、6ヶ月後に評価した。3、6ヶ月後においてそれぞれ対照眼と比較し約14%、33%に網膜神経節細胞死が認められた。 HSP70あるいはHSC70mRNAの発現量は、モデル作製4日、1週間、2週間、1ヶ月、3、6ヶ月後にRT-PCR法を用い検討した。HSP70mRNA発現量は、眼圧上昇後1ヶ月間は対照眼と比較し増加していた。しかしながら、眼圧上昇後少なくとも3ヶ月以降は逆に対照眼と比較し減少した。一方、HSC70mRNA発現量は経過観察期間を通して対照眼と同等であった。 慢性眼圧上昇下では網膜でのHSP70の発現が一過性に上昇するものの、その持続とともにその発現量は低下する。HSP70が従来通り保護的な役割を演じていると仮定した場合、慢性眼圧上昇下においてその発現が減少することにより、網膜障害が進行することが示唆された。本研究の成果は、ARVO meeting(平成15年4月、Fort Lauderdale)で報告した。
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