2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770955
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細畠 淳 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20324759)
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Keywords | 人工視覚 / 視神経刺激電極 / 大脳視覚中枢 / 視覚誘発電位 / ポジトロン断層撮影 |
Research Abstract |
視神経刺激電極の開発は、失明者の視覚を回復させようとする人工視覚の試みの中で、視神経を広範に刺激でき、放熱にも有利で、臨床への応用を早期に行える可能性がある。この視神経刺激型人工視覚の開発の最初のステップとして、ネコ、ラットヘの視神経刺激電極による光覚知覚モデルの実験を行った。記録電極を大脳視覚中枢に置き、電位が充分得られる至適条件を検索し、刺激の条件設定は比較的短期で達成できた。このため人工視覚を達成するための次のステップとして、ヒトにおける視神経刺激による人工視覚のモデルを、健常人で角膜電極による視神経のパルス刺激で開始した。刺激条件を光覚を知覚しやすい至適条件(刺激強度、パルス数)、さらに眼球その他に影響を及ぼさない安全域(総電流量、総刺激時間)を検索し、多少の固体差はあるものの一定範囲の条件で周辺視野あるいは全視野の光覚知覚の応答が得られた。この刺激と同期したVEP(視覚誘発電位)では後頭葉での積算電位は視覚刺激と同等の反応が得られた。また陽電子ラベルされた水によるPET(ポジトロン断層撮影)の脳アクティベーション研究では安全域での刺激では全収集時間に対する刺激の積算時間が短いため、反応はやや弱いものの、後頭葉視覚領の周辺部網膜に対応した部分に活性化(脳血流量の増加)が認められた。今後はさらに刺激条件を検索し、視野に対応したある程度の解像度が得られる刺激パターンを検索して、臨床応用に近づける方向で研究を進める予定である。
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