2002 Fiscal Year Annual Research Report
マウスモデルを用いた角膜ヘルペスに対する予防ワクチン投与の効果と免疫応答の解析
Project/Area Number |
14770966
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
池脇 淳子 大分医科大学, 医学部, 助手 (50336278)
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Keywords | 角膜ヘレペス / マウスモデル / サイトカイン / 免疫応答 |
Research Abstract |
平成14年度の研究計画として、マウスの角膜ヘルペスにおけるサイトカイン発現について調べた。マウスの角膜を擦過後HSV-1(KOS株)を接種し、経時的に角膜の観察を行った。感染後14日目にマウスを屠殺し、角膜よりRNAを抽出・精製した。炎症性サイトカイン、ケモカインの発現をRT-PCR法をにて検出した。BALB/cマウスにおいてHSV-1感染後にヘルペス性実質型角膜炎herpetic stromal keratitis(HSK)の所見を認めたものは20例中16例(80%)であった。炎症のある角膜からは、IL-1、IL-6、TNF-α・TGF-βなどのサイトカインのmRNA発現がみられた。また、MIP-2のケモカイン発現もみられ、HSKにおける好中球浸潤と関連があるものと推測された。これらの結果についてはほぼ既報と一致していた。また、このHSV-1感染実験の際に、炎症反応に対する修飾作用の非常に強い薬剤を腹腔内投与・点眼投与するマウスの群を設け、HSV-1感染後の角膜炎に対し抗炎症効果がみられるかどうか調べた。HSV-1接種後薬剤の点眼投与を行った群では10例中6例(60%)で角膜炎が認められたが、その炎症の程度はコントロール群(生食点眼)と比較し軽度であった。HSV-1接種後薬剤の腹腔内投与を行った群では角膜炎の発症は10例中1例(10%)であり、コントロール群と比較し有意に発症率が低かった。現在、さらに匹数を増やし、発症率を再度確認すると同時に、この薬剤の抗炎症効果の機序について、炎症性サイトカイン、抗炎症性サイトカイン、ケモカインmRNAの動態をRT-PCR法により調べ、免疫学的な検討を行っている。
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