2002 Fiscal Year Annual Research Report
移植・再生を目的とした間質細胞との共培養系を用いたES細胞分化誘導法の開発
Project/Area Number |
14770990
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
真田 武彦 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40312582)
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Keywords | ES細胞 / 筋肉細胞 / 神経細胞 / 間質細胞 / 共培養 |
Research Abstract |
今回我々はマウスES細胞と骨髄間質細胞との共培養系を用いてES細胞を各胚葉系へと分化誘導する試みをおこなった。使用したES細胞は京都大学再生研より提供頂いたEB-5という細胞株であり、間質細胞は東北大学付属加齢医学研究所分子発生学の御協力により、マウス骨髄細胞より樹立されたTBRと呼ばれる細胞株を数種類用いた。 手技としては、これらの間質細胞-TBRseries-をシャーレ上にて培養し、コンフルエントな状態にする。この時点でES細胞を低濃度にて散布し、2〜3週間培養する。コントロールとしてシャーレ上に直接散布したES細胞をおいた。 各胚葉系の代表として、外胚葉系には神経細胞、内胚葉系には筋肉細胞を採用した。神経細胞は信頼できるマーカーが存在しており、また筋肉細胞は典型的には自己収縮を来すため、それぞれ分化の確認が容易であると思われた為である。これまでの文献から神経/筋肉細胞へと分化誘導をきたす培地を選択し、ES細胞用の培地とした。 神経細胞分化であるが、共培養して5〜7日目には間質細胞上にES細胞のコロニーが形成される。初期には単なる塊状であるが、共培養10日目前後には樹枝状の突起を形成し、ニューロンを思わせる形態を呈するようになる。これらを共培養14日の段階にて神経特異的なマー力ーであるTuJにて免疫染色し、その陽性率を判定した。 結果として、コントロール群より有為に陽性率が高かったのはTBR31-1,TBR311,TBR10-1と呼ばれる間質細胞群であった。それぞれ陽性率は13.8%、16.7%、17.0%程度を示した。そもそもTBRseriesとは血球の分化を誘導する能力を持った間質細胞群であり、今回の結果もその血球誘導能との相関が予想されていたのであるが、そのような関係は確認出来なかった。筋肉細胞への分化であるが、こちらも共培養10日目前後から間質細胞上でも自己収縮する細胞群は確認されるものの、コントロール群との陽性率の有為な差は確認されていない。
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