2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病克服への新たなアプローチを目指して〜歯周病原細菌由来リポタンパク質の研究
Project/Area Number |
14770999
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷部 晃 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90281815)
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Keywords | 歯周病 / Bacteroides forsythus / リポタンパク質 / 炎症性サイトカイン / アポトーシス / TLR2 / 抗体価 |
Research Abstract |
Bacteroides forsythus由来のリポタンパク質(BfLP)の生物活性について、以下のことを明らかにした。 ● BfLPはヒト正常歯肉線維芽細胞(hGF)にIL-6産生を誘導し、単球・マクロファージ系細胞株THP-1にTNF-αの産生を誘導する。また、Lipopolysaccharideの活性を消失させるポリミキシンBはこの活性に影響を与えない。 ● BfLP刺激により、hGFならびにTHP-1においてNF-κBが経時的に活性化されている。 ● BfLPのレセプターとして、自然免疫系のレセプターとして重要であるtoll-like receptor (TLR)のひとつであるTLR2が関与している。 ● BfLPは最終濃度1μg/ml以下の刺激では炎症性サイトカイン産生を誘導するが、それ以上の濃度による刺激では細胞死を誘導する。 ● BfLPは最終濃度6μg/mlでhGFに100%、歯肉上皮系細胞KBに80%程度細胞死を誘導する。 ● BfLPは最終濃度6μg/mlで単球・マクロファージ系細胞株HL-60ならびにTHP-1に細胞死を誘導するが、リンパ球形細胞株MOLT-4には細胞死を誘導しない。 ● 上記の細胞死はアポトーシスを伴い、それぞれcaspase-8の活性化が確認される。 ● 歯周病患者・健常者それぞれ10名のBfLPに対する抗体価を比較すると、歯周病患者の平均抗体価は健常者の平均抗体価の約2.4倍であり、危険率2.6%で有意差が認められる。 以上のことから、BfLPは歯周病において何らかの病因的役割を果たしていることが示唆された。現在上記内容を学術雑誌に投稿準備中であるが、今後はより詳細な研究が必要であると思われる。
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