2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯牙形成を誘導するGrowth Factorの同定、解析
Project/Area Number |
14771005
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
山下 佳雄 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (50322300)
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Keywords | 再生 / ヒト歯牙 / 象牙質 / MOD / scidマウス / IGF / FGF |
Research Abstract |
1.我々は免疫不全マウス(NOD/scid)にヒト幼若歯牙を皮下移植することで、象牙質形成を生体内とほぼ同じように再現できる事を明らかにし報告した(Calcified Tissue International Vol.71:344-348,2002)。移植後、約1ヶ月後より新生象牙質が幼若歯牙の歯髄側に確認された。新生象牙質には象牙細管の規則正しい配列、また前象牙質層も確認され、ほぼ生体内と同じような構築が確認された。同時に同マウスの腹腔内への移植も試み、同様の結果が得られるか解析した。しかしながら腹腔内へ移植した歯牙に新たな歯牙硬組織の新生は認められなかった。皮下移植した歯牙の周囲には皮膚側から多くの微小血管の新生が認められたことから、我々はこの象牙質の形成には血液供給が非常に重要であると考えている。 また移植後の時間経過を調べていくと象牙質形成は約5-6ヶ月後にピークを向かえ、それ以降はあまり形成量に変化がないことが判明した。これは象牙質が新生され歯根が伸びるための十分なスペースが皮下にはない事、また使用しているNOD/scidマウスの寿命が約8ヶ月から1年と短いため十分な栄養供給が行われなくなるためではないかと推測している。よって完全な歯根形成には何らかの増殖因子の必要性がある考え現在、研究計画に基づき、移植と同時にIGFを皮下に注入し象牙質形成能の変化を観察した。IGF注入マウスと非注入マウスでは象牙質形成に明らかな差が生じた。つまり注入群の方が明らかに象牙質形成が活発に認められ、IGFが象牙質形成を促進させると考えられる(現在、論文作成中)。また現在、別のGrowth FactorであるFGFに注目し、同様の実験を進行中である。 2.今回、我々が使用している幼若歯牙は、すべてエナメル質形成が終了したものが対象となっており、この実験系がエナメル質形成を誘導できるか否かは定かではない。今後、よりGermな歯牙における同様の実験を行い、エナメル質形成にこの実験系を利用できるか検討していきたい。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yamashita, Y., Okumura, A., Danjou, A., Goto, M., Katsuki, T.: "Histological analysis of human tooth development in NOD/scid mice"Calcif Tissue Int.. 71・4. 344-348 (2002)