2002 Fiscal Year Annual Research Report
Notchシグナル系によるマウス味蕾の発生・分化制御機構の解明
Project/Area Number |
14771007
|
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
瀬田 祐司 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (90291616)
|
Keywords | 味蕾 / Notch signal系 / Mash 1 / Hes 6 / Delta 1 / 有郭乳頭 / マウス |
Research Abstract |
マウスの胎生期の有郭乳頭ならびに味蕾におけるNotch signal系遺伝子群(Notch1〜4, Jagged1〜2, Delta1, Hes1, Hes6, Mash1)の発現をin situ Hybridizationを用いて検索した。さらに発生期の有郭乳頭で観察されたMash1, Hes6, Delta1発現細胞と神経との関係についての検索を行った。胎生14日から15日において、多くのNotch signal系遺伝子群は有郭乳頭を含む舌上皮と間葉組織に広く発現が認められた。その中でbHLH型転写制御因子のMash1とHes6は有郭乳頭背部の一部の上皮細胞に限局して発現が認められ、Mash1とHes6の発現は有郭乳頭上皮へ神経線維が達するのとほぼ同時に認められた。胎生18日では、Notch2を除くNotch signal系遺伝子群の発現が有郭乳頭溝上皮と背部上皮の一部の細胞に収束していたのが認められた。さらに胎生18日において有郭乳頭背部上皮に認められるMash1, Hes6, Delta1を発現する細胞集団は上皮に侵入する神経線維と接しているのが観察された。味蕾においてもNotch2を除くNotch signal系遺伝子群の発現が認められた。これらのことから、味蕾細胞の発生・分化にNotch signal系遺伝子群が関与していることが推測された。 発生期におけるMash1の機能を検索するために、Mash1ノックアウトマウスの有郭乳頭を観察した。生後直後のMash1ノックアウトマウスの有郭乳頭では、味蕾細胞のマーカーの1つであるPGP9.5陽性細胞がほとんど認められず、さらに有郭乳頭上皮への神経線維の侵入もほとんど認められなかった。このことから、Mash1は上皮細胞から味蕾細胞への過程で重要な役割を演じていることが推測された。
|