2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14771016
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
宮前 真 愛知学院大学, 歯学部・歯科補綴学第一講座, 助手 (10340150)
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Keywords | Bacteroides fragilis / Bacteroides thetaiotaomicron / 薬剤排出ポンプ / ノルフロキサシン |
Research Abstract |
宿主大腸菌の複数の薬剤に対する抵抗性を高めるBacteroides thetaiotaomicronゲノムDNA断片クローン化に成功し,そのDNA断片の一部が他の細菌が有する薬剤排出ポンプと高い相同性を示す事が確認された.その遺伝子の塩基配列を決定し,bexAと名付けた.さらに,このbexAがBt菌体内で実際に薬剤排出に関わっているかを確かめるために,Br染色体上にあるbexA遺伝子を破壊した変異株を作製し,その薬剤感受性を調べたところ,親株に対して種々薬剤に感受性となっていることが確認された.ノックアウト変異株に対するMICが下がった薬剤は,組み換え大腸菌に対するMICが上がった薬剤と一致していた.この薬剤排出ポンプの阻害剤についても検討したが,薬剤排出ポンプの他のファミリーで明らかにされている阻害剤のいくつかが有効であることも確認された.これらのことから,bexA遺伝子は明らかに薬剤排出ポンプに関わる遺伝子であり,さらに薬剤排出ポンプの中では新しいMATEファミリーに属することを証明した. この遺伝子とホモロジー検索において相同性を示した,歯周病関連細菌として注目されているPor-phyromonas gingivalis(以下,Pg)の染色体の領域(高い相同性を示した2種)を,PCRによって増幅し,リコンビナントを作製した.そのリコンビナントを有する大腸菌の薬剤感受性を調べたが,調べられた薬剤に関しては変化が見られなかった.さらに,Pgの染色体上にあるそれらの領域を破壊したノックアウト株を作製し,それについても薬剤感受性を調べたが,調べられた薬剤に関しては変化が見られなかった.このことから,Pg染色体でbexA遺伝子と相同性が確認された領域は,菌体内で働いていない可能性が示唆されたが,他の薬剤などについても調べる余地はあるのでないかと考えている.
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