2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロキャリアー培養法を用いた歯根膜組織の再構築
Project/Area Number |
14771050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平田 政嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70312593)
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Keywords | 人工歯根 / 歯根膜 / 歯根膜線維芽細胞 / アルカリフォスファターゼ / マイクロキャリア / 組織工学 / scaffold / 組織再生 |
Research Abstract |
現在広く歯科応用されている人工歯根(インプラント)は、天然歯根修復と違いその周囲に歯根膜を有しないため、様々な問題が存在する。そこで、歯根膜由来線維芽細胞を用いて人工歯根周囲に歯根膜を再構築する必要がある。近年、付着依存型細胞の大量培養法としてマイクロキャリアー培養法が開発・応用されてきている。これまでの我々の研究において、マイクロキャリアー培養法が歯根膜線維芽細胞にも応用可能であり、その足場および移植担体(scaffold)としてコラーゲンゼラチン製の多孔性マイクロキャリアーに関して適用可能であることが判明した。今回、培養条件にスピナフラスコの撹拌回転というストレスを与えた時の歯根膜線維芽細胞の特性の変化をアルカリホスファターゼを指標として検討した。 1.SEMおよび共焦点レーザー顕微鏡観察において、細胞同士がマイクロキャリアを足場として、互いに接着しながらマイクロキャリアを架橋し、キャリア内部まで伸展することで三次元立体構造を形成していることが判明した。しかし、細胞の付着が見られなかったものもあった。細胞付着率を上げるためには、培養条件(播種密度・培養初期条件など)の更なる検討が必要であると思われる。 2.マイクロキャリア培養法において、歯根膜線維芽細胞は撹拌回転というある種のストレスを受けることによって、ALP活性が上昇した。この結果は、マイクロキャリア培養された骨芽細胞では、撹拌回転の有無によってALP活性の相違が見られたとの報告や、平板培養であるが、歯根膜線維芽細胞が伸展刺激によってALP活性を上昇させたとの報告とも一致する。 生体内で歯根膜は常にストレスを受けている組織であり、石灰化はしないもののALP活性が高い組織である。生体内に応用する際に、いかなる表現型の細胞を応用すべきかは検討が必要であるが、ALP活性に関しては当培養法で、ある程度調整可能であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 平田政嗣, 岩松洋子ら: "多孔質マイクロキャリアを用いた歯根膜由来線維芽細胞の培養"日本バイオマテリアル学会雑誌. 21(sup). 282 (2003)
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[Publications] 岩松洋子, 平田政嗣ら: "純チタンへの培養歯根膜由来線維芽細胞の接着"日本バイオマテリアル学会雑誌. 21(sup). 312 (2003)