2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体組織親和性素材による歯髄細胞の石灰化能亢進と直接覆髄法への応用
Project/Area Number |
14771056
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柳口 嘉治郎 長崎大学, 歯学部附属病院, 講師 (50264255)
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Keywords | キチン / キトサン / 直接覆髄 / 石灰化 |
Research Abstract |
6週令のウイスター系雄性ラットの下顎切歯に窩洞を形成、鋭利な探針で露髄部を形成した後、キトサンモノマー(グルコサミン)を覆髄剤として貼付し、グラスアイオノマーセメントで仮封した。 術後0、1、3、5、7日後、露髄部を含む下顎切歯をできるだけ小さく摘出し、エポキシレジンに包埋後、切片を作製し、トルイジンブルー染色後、光学顕微鏡にて歯髄創傷治癒過程の観察を行った。 術直後、グルコサミンに接した表層の歯髄組織には変性、壊死した細胞が存在していた。周辺には、限局した軽度の炎症性細胞の浸潤がみられた。術後1日目、貼付したグルコサミンの間隙にわずかではあるが好中球が散在していた。術直後と比較して、表層の変性、壊死した歯髄組織の拡大、及び炎症性細胞の広がりは確認できなかった。術後3日目になると炎症性細胞の浸潤及び表層の変性、壊死した歯髄細胞層は観察されなくなり、窩洞内の大部分は線維芽細胞によって満たされていた。術後5日目には、さらに窩洞内の線維芽細胞の浸潤が顕著になった。そして、術後7日目には点状に石灰化物も観察されるようになった。 従来、我々が実験に用いてきたキトサンポリマーは初期の強い炎症反応が常に認められ、線維芽細胞の浸潤も貼付したキトサンポリマーの周囲に限局されていた。 しかし、今回用いたキトサンモノマーは初期の炎症反応はほとんど起こさず、早期に線維芽細胞に置換し、さらにわずかではあるが石灰化物の産生も確認することができた。 よって、今回の結果からキトサンモノマーは生体親和性素材として優れた性質をもった材料だと考えられる。
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