2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉培養細胞の免疫応答(磁場作用による細胞内シグナル伝達)の検討
Project/Area Number |
14771063
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木村 功 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60307874)
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Keywords | SMF / ラジカルEIA / SOD / 歯肉培養細 / HSP |
Research Abstract |
磁場作用は口腔内細菌に対して増殖抑制作用があることを確認している。口腔内において磁場作用は生体防御と言う点で何らかの作用を示していることが示唆された。生体内におけるSODは炎症反応に対して抗炎症的に働くことが言われており、歯肉におけるSODの動態を検討することは、歯肉組織における免疫反応の一端を解明できると思われる。そこで、歯肉線維芽細胞に静磁場を作用させ、歯肉線維芽細胞内のSODの動態を検討した結果、静磁場を作用させた時間に依存してその生成量が増加した。そこで、細胞内SODレベルを上昇させた状態でLPSを作用させ、IL-1βの生成量を検討した結果、IL-1βの生成量は抑制された。このことから、LPSの刺激に対してSOD量の増加は、抗炎症的に働くことが示唆された。藤井らは多量にSODが発現された細胞ではIL-1βの生成を抑制し、細胞障害に対して抵抗性を示すことを報告している。本研究においても磁場を作用させることで歯肉培養細胞はLPS刺激に対して抵抗性を示していることが示唆された。河野らは磁場作用の熱作用を報告している。磁場作用における熱刺激に対して歯肉線維芽細胞における免疫応答として、Heat Shock Protein(HSP)の動態を検討した結果、磁場強度依存的にHSP 70の遺伝子発現が認められた。加えてSODの発現も認められ、IL-1βの発現は減少した。このことから、細胞内において磁場作用を受けると、HSP 70の活性が上昇しそれに伴ってSODの活性が上昇することが示唆され、結果的に炎症性サイトカインであるIL-1βの産生が抑制されることが示唆された。磁場作用における生体に対する免疫反応は深いことが予想されるため、今後あらゆる炎症性サイトカインに対する影響を検討し、より詳細な磁場作用の歯肉培養細胞に対する作用メカニズムの解明を行いたいと考える。
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