2002 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質接着システムの長期接着疲労耐久性評価法の確立
Project/Area Number |
14771068
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
三橋 晃 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20239289)
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Keywords | 疲労破壊 / くさび状欠損 |
Research Abstract |
歯科領域において用いる材料は"咬合"という繰り返し行われるストレス荷重下で微視的亀裂の発生と成長に始まり、巨視的な力学的条件依存の亀裂伝播を経て、最終不安定破壊に至る。一連の疲労破壊の挙動を呈する繰り返し応力に対する接着部の疲労耐久性から接着修復物の長期安定性を検討する目的で、本年度は抜去天然人歯を用い、通常臨床で遭遇するアブフラクションに対する歯頸部修復を想定したシミュレーション実験を行った。 人工的くさび状欠損の形成;歯軸に対して45度に植立されたヒト下顎小臼歯の頬側咬頭に電気油圧式サーボ疲労試験機を用い、咀咽咬合をシミュレ-ションした最低応力(τ_<min>)、最大応力(τ_<max>)を一定とした繰り返し圧縮応力を負荷し、経時的な状態を咀嚼するため0回から1000万回までの任意負荷回数で毎時頬舌側の形態学的変化のレーザー顕微鏡による観察とレプリカを採得し電子顕微鏡にてさらに観察を行った。エナメル-セメント境においてセメント質最表層に網目状の亀裂の発生を認め、疲労回数の増加に伴い亀裂の増加、微細化が観察された。一方、象牙質表層ではsmear層の脱落、細管の開口が認められ、エナメル-象牙質境直下の象牙質に剥離上のへき開型の亀裂が観察された。 本結果よりくさび状欠損の形成、拡大の一因として咬合が関与し引張り疲労応力により歯頸部に応力が集中しくさび状欠損を形成、あるいは進行させる可能性が示唆された。
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