2003 Fiscal Year Annual Research Report
軟性裏装材は血流動態を正常化し歯槽骨吸収を防止する?
Project/Area Number |
14771086
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
丸尾 幸憲 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60314697)
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Keywords | 軟性裏装材 / 義歯床 / 骨吸収 / 血流動態 / 歯槽骨 / ラット |
Research Abstract |
軟性裏装材は患者の装着感のみならず咀嚼効率も向上させるとの報告があるものの,その義歯支持組織に対する影響については全く検討されていない.本研究は軟性裏装材が顎提粘膜の血流動態を正常化するとともに残存歯槽骨の骨吸収を防止するかどうかについて検討することを目的とした. 実験動物には,15週齢のウイスター系雄性ラットを用い,咀嚼時のみに義歯床下粘膜に対して加圧することが可能な床装置を装着した.なお,加圧量は加熱重合レジン製床装置の場合に義歯床下骨組織に吸収を惹起することが明らかである33.0kPaとした.実験群としては,床装置粘膜面の材料により加熱重合レジン,シリコーン系あるいはアクリル系軟性裏装材の3装置装着群(一群20匹)と装置を装着しない対照群(20匹)とした.装置装着の1,2,3および4週間後の定時に顎提粘膜の全血流量および骨吸収量を計測した.全血流量は組織血流計を用い,また骨吸収量すなわち骨吸収により生じた床装置と粘膜の間隙は,寒天印象材を用いて採得した印象材の質量を体積換算することにより算出した. 対照群の示した血流量は観察期間を通じてほぼ一定の値を示した.装置装着群の示した血流量はいずれの材料も床装置装着直後から対照群に比較して減少したが,軟性裏装材は加熱重合レジンに比べてその程度は小さかった.また,血流量の正常化の程度はアクリル系軟性裏装材の方がシリコーン系軟性裏装材に比べて大きかった.骨吸収量は軟性裏装材を適用した場合,加熱重合レジンに比べてほとんどの期間において有意に小さい値を示した.また,1および4週後ではアクリル系軟性裏装材に比べてシリコーン系軟性裏装材の方が有意な骨吸収防止効果を示した.以上のことから,軟性裏装材の適用は材料自体のレジリエンスによって効果の程度が異なるものの,義歯床下の血流動態を正常化するとともに骨吸収を防止することが示された.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 西川悟郎, 丸尾幸憲, 岡 森彦(他3名): "義歯安定剤の使用による上顎総義歯の偏位"日本補綴歯科学会雑誌. 47・第109回特別号. 100 (2003)
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[Publications] 西川悟郎, 丸尾幸憲, 岡本 信(他3名): "ホーム・リライナーの使用による義歯床下粘膜の形態変化"日本補綴歯科学会雑誌. 47・第110回特別号. 90 (2003)
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[Publications] Maruo, Y., Sato, T., Hara, T.(他3名): "The effect of diabetes mellitus on the expression of Argyrophilic nucleolar organizer regions (AgNORs) in mucosal epithelium under experimental denture bases in rats"Journal of Oral Pathology & Medicine. 32. 171-175 (2003)
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[Publications] Nishigawa, G., Natsuaki, N., Maruo, Y.(他2名): "Visual observation of the dynamic flow of the elastomer rubber impression material between the impression tray and oral mucosa while seating the impression tray"Journal of Oral Rehabilitation. 30. 608-613 (2003)
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[Publications] Nishigawa, G., Matsunaga, T., Maruo, Y.(他3名): "Finite element analysis of the bucco-lingual position of the artificial posterior teeth under occlusal force on the denture supporting bone of the edentulous patient"Journal of Oral Rehabilitation. 30. 646-652 (2003)