2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体・口腔内環境におけるチタンの水素吸収と寿命評価
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14771090
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
横山 賢一 徳島大学, 歯学部, 助手 (80308262)
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Keywords | チタン / 生体・歯科材料 / インプラント / 生体・口腔内環境 / 腐食 / 水素脆化 |
Research Abstract |
本研究では、インプラントや金属床などに使用されている生体用チタンおよびチタン合金が、生体・口腔内で破折する原因について、水素吸収による材質劣化の観点からチタンの寿命を評価した。寿命評価環境は、歯面塗布液や歯磨剤などにう蝕予防のため添加されているフッ化物の影響を考慮した環境で行なった。 [アルファチタン(純チタン)] リン酸酸性フッ化ナトリウム(APF)水溶液(pH5.0)および中性フッ化ナトリウム(NaF)水溶液(pH6.5)中で、負荷応力下にある純チタンが水素脆化に関連した破壊を起こすことを明らかにした。負荷応力が高くなるにつれて破断時間は短くなった。負荷応力が同じ場合、破断寿命はNaF溶液中よりもAPF溶液中の方が短くなった。四重極質量分析器を用いた昇温水素放出分析から、純チタンがフッ素溶液中において、多量の水素を吸収することがわかった。水素放出ピーク温度は500℃付近にあり、吸収した水素が欠陥などに強くトラップされていることを示唆した。 [ベータチタン] 歯科矯正用ベータチタン合金がAPF水溶液中で遅れ破壊することを明らかにした。2.0%APF水溶液中で負荷応力600MPa以上の場合、ディンプルを有する延性破壊であるが、500MPa以下で脆性破壊へと破壊モードが遷移した。一方、0.2%APF水溶液中で負荷応力500MPa以下の場合、1000時間以内に破断しなかった。また、2.0%NaF溶液中の負荷応力下では、試料表面に孔食が確認されたが、1000時間以内に破断しなかった。X線回折から、2.0%APF溶液中で試料表面に腐食生成物としてNa_5Ti_3F_<14>が生成することが確認された。2.0%APF溶液中における無負荷24時間浸漬で4000mass ppm以上の水素吸収が認められた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 横山賢一: "口腔内環境におけるチタンの破壊-フッ化ナトリウム水溶液の影響-"日本金属学会講演概要. 131・秋. 108 (2002)
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[Publications] 横山賢一: "酸性および中性フッ化ナトリウム水溶液中で定荷重負荷した純チタンの破断寿命"歯科材料・器械. 21・40. 106 (2002)
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[Publications] Kazuyuki Kaneko: "Delayed fracture of beta titanium orthodontic wire in fluoride aqueous solutions"Biomaterials. 24・12. 2113-2120 (2003)