2002 Fiscal Year Annual Research Report
Ti系生体材料接合の為の生体安全性に優れたアモルファスろう材の開発
Project/Area Number |
14771097
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三浦 永理 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70315258)
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Keywords | チタン・チタン合金 / 生体用金属材料 / 赤外線ろう接 / アモルファスろう材 / 力学的性質 / 耐食性 |
Research Abstract |
高耐腐食性や高い生体親和性,高強度高弾性及び低密度等の利点を持つTi及びTi合金は,歯科等の生体材料として優れている.一方,製造や加工のプロセスにおいて,未解決の問題点は多い.本研究では,歯科補綴物プロセスの一つろう接に着目し,新しいTi係合金用ろう材としてのアモルファス金属の可能性を検討した. 接合材料はCPTi及びTi-6Al-7Nb,アモルファスろう材はZr_<60>Al_<15>Cu_<25>,Cu_<60>Hf_<25>Ti_<15>,Zr_<55>Cu_<30>Al_<10>Ni_5及びPd_<40>Cu_<30>P_<20>Ni_<10>とした.ろう接は,市販の歯科用赤外線ろう接装置を用いた.人工唾液中での劣化試験と,ろう接条件決定の為の諸因子(ろう材,フラックス,赤外線照射強度等)の検討を行った.接合試料は引張及び曲げ試験を行い,接合部の組織の同定にはSEM-EDXを用いた. 劣化試験では,CuHfTiの腐食劣化が一番激しく,Cuの著しい溶出が起こる.一方,PdCuPNi及びZrAlCuNiは約6ケ月経過しても質量変化は殆ど見られず,高い耐食性を示す.フラックス不使用のろう接の場合,ZrCuAlNiを除く3種類は接合可能であったが,いずれも破断強度は100-170MPa程度と低く,脆性破壊した.接合部にフラックスを塗布してろう接を行ったところ,貴金属用フラックスとPdCuPNiの組み合わせで比較的良好な接合部が得られ,UTSは約220MPaであった.ZrCuAlNiは表面酸化が激しく接合不可能であった.SEMによる断面組織観察では,接合部に多くの相が存在し,Tiが多く溶け込んでいた.これは,Pd-Tiの反応によるアモルファス形成能の低下が原因と考えられる.従って,現段階ではPdCuPNiが最も有望であるが,ろう材の組成選択を広げ,十分な接合性を得る為に,ろう接装置中の雰囲気制御及び急冷機構等の装置改良も含めた検討が必要である.
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