2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血管内皮細胞において局所麻酔薬が一酸化窒素産生に与える影響
Project/Area Number |
14771142
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高石 和美 徳島大学, 歯学部, 助手 (20325286)
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Keywords | 局所麻酔薬 / 一酸化窒素 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
局所麻酔薬(プロカインとリドカイン)が、培養ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)からの一酸化窒素(NO)産生に与える影響について検討した。NOは一酸化窒素合成酵素(NOS)により合成される。血管内皮細胞にはNOSのアイソフォームのひとつである内皮型NOS(eNOS)が存在する。HAECから蛋白質を抽出し、SDS-PAGEにて展開しニトロセルロース膜に転写しブロッキングを行った。1次抗体として抗eNOS抗体を、2次抗体としてHorseradish peroxidase標識抗ラビットIgG抗体を用い反応させAmersham ECL Kitにて検出した。その結果、培養HAECにおいてeNOS蛋白の発現が認められた。そのため、HAECのeNOSを活性化させ、産生されるNO量に対する局所麻酔薬の影響を評価した。HAECをアセチルコリンで刺激した後、局所麻酔薬を作用させ緩衝液にアルギニンを添加してNO産生量を測定した。NO産生量は、2.3-Diaminonaphthaleneを用いて緩衝液中のNOの代謝産物であるnitrateおよびnitriteの量を測定することにより検量した。その結果、プロカインはHAECにおいて、NOの産生量を有意に減少させた(コントロール:6.578±0.428、プロカイン:3.433±0.261、p<0.0001)。一方、リドカインはNO産生に影響を及ぼさなかった(リドカイン:7.144±0,566)。以前我々は子牛大動脈内皮細胞(BAEC)を使用して局所麻酔薬がNO産生に与える影響について検討したが、HAECにおいても類似の結果が得られた。現在、多種類の局所麻酔薬の影響および局所麻酔薬がHAECにおいてNO産生を抑制する機序についての検索をすすめている。
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