2002 Fiscal Year Annual Research Report
有郭乳頭味蕾におけるBDNF(脳由来神経栄養因子)とtrkBの発現
Project/Area Number |
14771152
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
内田 暢彦 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (70295905)
|
Keywords | 味蕾細胞 / TrkB / BDNF / 有郭乳頭 / マウス / 神経栄養因子 / 神経切断 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
マウスを用いた実験により、舌咽神経を切断すると舌有郭乳頭の味蕾がアポトーシスによる細胞死により次第に数を減らし、手術後10日日頃までに完全に消失してしまうことが報告されているが、このことは、味蕾の支配神経は、味蕾細胞のアポトーシスを抑制する因子、云いかえると生存維持作用を持つ因子を放出するのではないかと思われ、味蕾の発生過程や神経切断後の再生過程においては、上皮内に神経が侵入した後に味蕾が形成されることから、味蕾の発生、分化、成長には神経から放出される栄養因子が必要不可欠であると考えられる。 本研究では、BDNF(脳由来神経栄養因子)とそのレセプターであるtrkBについて、正常および舌咽神経切断後の味蕾の変性、再生過程における発現、さらに発生過程の有郭乳頭味蕾における発現を免疫組織化学的方法により調べ、また合わせて、有郭乳頭の溝に導管が開口する純漿液性の唾液を分泌するエブネル腺についても調べることを目的としている。 材料と方法 成熟ddYマウスの無処置群と舌咽神経切断群とを用いた。手術後2日、5日、3週、4週のマウスを実験に用いた。また、胎生16、17、18日及び生後0日の無処置マウスも用いた。有郭乳頭を含む組織を切り出し,免疫組織学的観察をおこなった。 結果としては、正常の味蕾細胞はBDNFおよびtrkBを持っていた。味覚神経切断後の減少しつつある味蕾細胞、および再生する味蕾細胞にもBDNFとtrkBは存在することがわかった。 胎生末期16-18日の有郭乳頭は溝が未形成で、味蕾もまだ認められないが、背面上皮にtrkB陽性神経が侵入しており、その周囲の上皮細胞の部がtrkB陽性であった。 有郭乳頭の溝に導管が開口するエブネル腺の終末部の細胞はBDNFを含有していた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 武田正子, 内田暢彦, 鈴木裕子: "味蕾細胞と神経"東日本歯学会雑誌. 21(1). 1-10 (2002)
-
[Publications] M Takeda, N Uchida, Y Suzuki, N Obara, Y Nagai: "Expression of Glial Cell Line-Derived Neurotrophic Factor in Myoepithelial Cell of Mouse Tongue Salivary Glands"Jpn.J.Oral Biol.. 44. 238-242 (2002)