2002 Fiscal Year Annual Research Report
Drug Delivery Systemを用いた新規生体吸収性骨補填材の開発 ―骨増殖因子を組合せたハイブリッド型吸収ブロックの骨リモデリングに関する評価―
Project/Area Number |
14771154
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
古内 秀幸 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (80316398)
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Keywords | 生体材料 / Drug Delivery System / 骨再生 / 骨増殖因子 / β-リン酸三カルシウム / 酸性ゼラチン |
Research Abstract |
口腔外科領域では顎骨の組織再生の要求度が高い。外科手術による顎骨の欠損を補填する場合、口腔内のような易感染性の環境では異物として永久的に残存する材料よりも、生体内吸収性の材料を用いた方が安全である。しかし従来型の材料においては、それ自体に骨形成能がなく、自家骨への置換に時間がかかった。 今年度は新たな顎骨組織再生法を開発するため、生体内吸収性を有するβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)に骨増殖因子(TGF-β1)を含んだゼラチンハイドロゲルを複合させることにより、組織再生の足場と薬物送達システム(DDS)を兼ね備えた新規ハイブリッド型のブロックの作製を行っている。すなわち酸性ゼラチン水溶液にグルタルアルデヒドを加え、ゼラチンを化学架橋した。これをグリシン水溶液で処理し、未反応のグルタルアルデヒドを不活性化させ、多孔性β-TCPへ浸潤させることによって架橋ゼラチンハイドロゲルとβ-TCPのハイブリッドブロックを得た。最後にTGF-β1を滴下し、12時間静置しTGF-β1含浸ハイブリッドブロックを作製した。酸性ゼラチンの生体内における吸収速度について実験を行ったところ、グルタルアルデヒドによる化学架橋により吸収速度は遅延し、未架橋の酸性ゼラチンが生体内において3日で吸収するのに対し、架橋ゼラチンは7日以上経過した後、吸収を認めた。これにより、架橋度を調節することによって酸性ゼラチンに含浸されたTGF-β1の徐放速度を調節できる可能性が示唆された。また、このブロックを日本白色家兎の顎骨に形成した欠損に移植し、骨再生の評価を行っている。本研究で作製したブロックは、β-TCPの吸収に伴い骨増殖因子が架橋ゼラチンから徐放されるシステムであり、マイクロフォーカスX線CT装置による評価において、骨再生にかかる時間が材料を移植しない群に比較し短縮される可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Taira, M., Furuuchi, H., Saitoh, S., Araki, M., Sakamaki, M.: "Preparation of gelatin and collagen scaffolds and evaluation of their histological reaction"Transactions of the Fourth International Congress on Dental Materials. 16. 296 (2002)