2002 Fiscal Year Annual Research Report
マウス化学発癌モデルを応用した口腔粘膜前癌病変の癌化予防遺伝子療法に関する研究
Project/Area Number |
14771160
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伊東 大典 昭和大学, 歯学部, 講師 (40286844)
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Keywords | 遺伝子治療 / マウス / 化学発癌モデル / 細胞周期 / 口腔粘膜前癌病変 |
Research Abstract |
野生型C57BL/6マウスに、発癌剤4-NQOまたはb[[a]p]溶液を経口投与する化学発癌モデルを確立した。発癌剤投与群の舌組織を採取し、病理組織学的検索を行ったところ、4-NQO投与群で2〜3週間、b[a]p投与群では約6週間後に、基底細胞数の増加と細胞極性の乱れ、有棘細胞の形態異常と核/細胞質比の増大、染色性の増強など、軽度から中等度の異形上皮の所見が得られた。このような変化が起きるまでの細胞周期調節因子の発現変化を、免疫組織化学的に解析した。細胞周期G1期進行の抑制因子p21の発現は、未処理群の舌組織においてはほぼ検出レベル以下であったが、4-NQOまたはb[a]p処理後時間依存的に発現増強されているのが認められた。同様の結果は、Western blot analysisにおいても得られた。G1期進行の促進因子であるcyclin DおよびCDK4、抑制因子p27の発現増強は、RT-PCRにおいては弱いながら認められたが、Western blottingでは明らかでなかった。しかし、免疫組織学的解析において、cyclin Dの細胞内局在性の変化が観察された。すなわち、未処理群において、cyclin Dは主として細胞質内に認められたが、処理群においては、代わって核がcyclin D強陽性となった。これは、発癌剤処理時間が長くなるに伴って顕著となった。G1-S進行を制御する転写因子E2Fと、その抑制因子Rbの発現変化は、mRNA、タンパクいずれのレベルでも著明には認められなかったが、Western blottingにおいて、高リン酸化Rbの割合の増加を強く示唆する結果が得られた。これらの結果から、本研究で解析しているマウス化学発癌過程において、G1-S進行に関与する因子の発現変化が重要である可能性が示され、潜在的に遺伝子療法のターゲットとなり得ると考えられた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Toyoslinima, T, Kamijo, R, Takizawa, K, Sumitani, K, Ito, D, Nagumo, M.: "Inhibitor of cyclooxygenase-2 induces cell-cycle arrest in the epithelial cancer cell line via up-requlation of cyclin dependent kinase inhibitor p21"Br J Cancer. 86:7. (2002)