2002 Fiscal Year Annual Research Report
第三大臼歯発生の遺伝子解析―先天奇形患者のHomeobox遺伝子解析から―
Project/Area Number |
14771171
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
梶井 貴史 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60322822)
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Keywords | 第三大臼歯 / 上顎骨 / 下顎骨 / 先天異常 / Homeobox遺伝子 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
唇顎口蓋裂患者およびHemifacial Microsomia (HFM)の患者の初診時X線写真を用いて、第三大臼歯の有無と上下顎骨の大きさとを計測し、両者の間に相関が見られるかどうか、また先天異常によって第三大臼歯の有無に特定のパターンがあるかを調査することを、今年度の第一の目標とした。 上記の研究計画に基づき、対象は本学矯正科に来院したHFM患者のうち、初診時年齢が15歳未満の患者69名(HFM群)とした。資料として原則として初診時に撮影されたパノラマX線写真を用い、初診時年齢が10歳未満で第三大臼歯歯胚の形成が認められないものについては、その後の経年資料として撮影されたパノラマX線写真を用いた。対照として、本学矯正科に来院した先天異常を有しない患者391名(対照群)を用いた。各群内において、第三大臼歯歯胚が4本とも全て存在する患者数の削合(第三大臼歯無欠損者率)、および部位別の第三大臼歯歯胚の欠損率を求め、比較検討した。その結果、以下の見解を得た。 第三大臼歯無欠損者率はH.F.M.群の方が対照群と比べて有意に低かった。一方、H.F.M.群内において、通常骨の形成不全が認められる患側と健側の間における第三大臼歯歯胚欠損率には、有意差は認められなかった。 以上より、第三大臼歯歯胚の形成の有無は、顎骨の大きさよりもH.F.M.を発現する因子との関連が強い可能性が示唆された。 また、ボランティアまたは患者からの血液からDNAを調製し、歯胚の歯種および位置の決定に関わるHomeobox遺伝子およびその発現を誘導する成長因子をコードする遺伝子群について調べることが来年度以降の目標である。 これに対する準備として、血液資料を採取予定であるので、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に沿って、手続き、計画を本研究機関の倫理委員会の審査に申請し、承認を既に得た。
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