2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14771178
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
友藤 孝明 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80335629)
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Keywords | 高コレステロール食 / 血清脂質 / 歯周病 / リスク要因 |
Research Abstract |
疫学研究は、歯周病の増悪因子として血清脂質の増加を指摘している。本年度の研究では、ラットに高コレステロール食を与えて血清脂質を増加させ、その状態がラット歯周病モデルに与える影響を検討した。 8週齢のWistar系雄性ラット40匹を用いた。ラット20匹に対して、標準食に1%コレステロール(w/w)を添加した飼料(高コレステロール食)を与えた。残り20匹には、標準食を与えた。実験開始から4週間後、ラットをさらに2群に分け、歯周病病原因子もしくはpyrogen-free waterを3.0μlずつ、上顎第1臼歯口蓋側歯肉に1日1回、4週間投与した。なお、歯周病病原因子として、E.Coli由来lipopolysaccharide(LPS)溶液25mg/ml、1.5μlとStreptomyces griseus由来プロテアーゼ2.25unit/μl、1.5μlを併用した。 実験期間終了後、屠殺と同時に採血を行い、酵素法を用いて血清脂質(総コレステロール、トリグリセライドおよびHDL-コレステロール)の濃度を計測した。また、歯周組織を固定・脱灰してパラフィン切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色および抗proliferating cell nuclear antigen(PCNA)抗体による免疫染色を行った。組織定量分析として、接合上皮の根尖側移動距離と歯槽骨の吸収量を計測した。さらに、接合上皮のPCNA陽性細胞を計数した。 対照群(標準食およびpyrogen-free waterを与えた群)と比較したとき、高コレステロール食を与えた2群において、血清中の総コレステロール濃度の上昇とHDL-コレステロール濃度の低下がみられた。一方、トリグリセライドについては、群間で一定の傾向はなかった。 接合上皮の根尖側移動距離は、対照群、高コレステロール食群、LPSとプロテアーゼ投与群、高コレステロール食およびLPSとプロテアーゼ投与群の順に大きくなった。接合上皮のPCNA陽性基底細胞数も同様の傾向を示した。また、対照群を除く全ての群において、歯槽骨吸収が観察された。 高コレステロール食を与えたラット歯周病モデルでは、標準食を与えた歯周病モデルよりも大きな接合上皮の根尖側移動と上皮細胞の増殖活性がみられた。このことから、コレステロール食による血清脂質の変化は歯周病を増悪させることが考えられる。さらに、高コレステロール食群で接合上皮の根尖側移動と歯槽骨吸収が現れたことは、高コレステロール食の摂取自体が歯周病のリスク要因であることを示している。
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Research Products
(1 results)