2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規な2点配位型ルイス酸の創製とエステル類の効率的分子内反応の開発
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14771252
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
齊藤 亜紀夫 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (10339103)
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Keywords | 二点配位型ルイス酸 / トリフルオロメタンスルホンアミド / Diels-Alder反応 / α,β-不飽和ラクトン誘導体 / 3,5-ヘキサジエニルアクリル酸誘導体 / [2+3]環化反応 |
Research Abstract |
エステル化合物は、カルボニル酸素とエーテル酸素の双極子モーメントの反発とエステル基に結合する置換基の立体反発によりtransoid配座が有利である。このため、エステル基を結合部位とするトリエン化合物の分子内Diels-Alder反応は効率的に進行しない。この問題点に対してエステル基の2つの酸素原子に配位可能な2点配位型ルイス酸が設計できれば、(1)反応に有利なcisoid配座の形成に加えて、(2)2点配位によるジエノフィル部位の活性化により、分子内反応は効率的に進行するものと考えた。詳細な検討の結果、トリフルオロメタンスルホンアミド(TfNH_2)とMe_2AlClから生成するルイス酸TfNH_2[Al(Me)Cl]_2が3,5-ヘキサジエニルアクリル酸誘導体の分子内Diels-Alder反応に対して、極めて有効な触媒であることを既に報告した。 このような二点配位型ルイス酸はcisoid配座に固定されているα,β-不飽和ラクトンの分子間Diels-Alder反応に対しても有効な触媒となり得ると考え、種々の基質について検討を行った。TfNH_2とMe_2AlClあるいはDIBALから生成するルイス酸を使い分けることにより、従来法で反応の進行が困難であったα位に置換基を有するα,β-不飽和ラクトン誘導体に対しても穏和な条件下で、高収率、高立体選択的に進行することを明らかにした。 さらに上述の分子内Diels-Alder反応の知見をもとに、アクリル酸部位とアリルシラン部位をエステル基で結合した3-トリアルキルシリル-4-ペンテニルアクリル酸エステルの分子内エン反応について検討を行った。類似の分子間反応では[2+2]および[2+3]環化反応が競争するのに対して、TfNH_2[Al(Me)Cl]_2を用いた本反応では[2+3]型のみが進行しビシクロ[4.3.0]ノナン誘導体が収率よく得られることを見い出した。今後、本反応の一般性について検討する予定である。
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