2002 Fiscal Year Annual Research Report
ケテンN,O-アセタールの化学反応性の研究および天然物合成への応用
Project/Area Number |
14771253
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
細川 誠二郎 東京理科大学, 薬学部, 助手 (10307712)
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Keywords | ケテンN,O-アセタール / 不斉4級炭素 / 転位反応 / 遠隔不斉誘導 / ヴィニロガス向山アルドール反応 / ルイス酸 |
Research Abstract |
不斉補助基の付いたα、β-不飽和イミドに塩基としてNaHMDSを作用させた後、HMPA存在下でベンジルオキシメチルクロリドと反応させることにより、O-ベンジルオキシメチル化されたケテンN,O-アセタールを高収率で単一異性体として得た。この基質に対してトルエン中、ルイス酸としてメチルアルミニウムジクロリドを作用させたところ、ベンジルオキシメチル基がα位へ転位し不斉4級炭素が高立体選択的に生成した。これは今までに類を見ない全く新しいタイプの反応である。この生成物の立体化学を調べたところ、これまで我々が開発してきた方法、すなわちHMPAを添加せずにアルキル化する方法とは逆の立体化学を持つ4級炭素であることが解った。従って、同じ基質から違う不斉4級炭素を作り分けたことになる。一方、ジクロロメタン中で同様の操作を行うとγ位にベンジルオキシメチル基が転位した化合物が主生成物として得られた。この際γ位で10:1程度の立体選択性が発現した。これは新しいタイプの遠隔不斉誘導反応である。この遠隔不斉誘導を用いてジエノール型のケテンシリルN,O-アセタールの立体選択的ヴィニロガス向山アルドール反応を開発した。基質となるジエノール型ケテンシリルN,O-アセタールは、不斉補助基の付いたα、β-不飽和イミドにNaHMDSを作用させた後TBSClを反応させることにより高収率で単一異性体として得られた。これに塩化チタン存在下、種々のアルデヒドやイサチンを反応させたところ、ヴィニロガス向山アルドール反応が高収率で立体選択的に進行した。この反応を利用した天然物合成が進行中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tatsuo Suzuki, Masaharu Inui, Seijiro Hosokawa, Susumu Kobayshi: "1,3-Rearrangement of Ketene N,O-acetals"Tetrahedron Letters. 44(in press). (2003)