2002 Fiscal Year Annual Research Report
包接能を有する配位子を活用するヨウ化サマリウムの新規な反応系の開発
Project/Area Number |
14771258
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
日置 和人 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (70268522)
|
Keywords | ヨウ化サマリウム / カリックスアレーン / 包接 / シクロデキストリン / 還元 / 配位子 |
Research Abstract |
ホスト分子への置換基導入による配位子の合成 カリックス[4]アレーンを用いてその水酸基へのビスジメチルアミノホスホリル基の導入を検討した.その結果,テトラヒドロフラン中で少過剰の反応剤を用いることで,4つの水酸基のうち2つが置換された2置換体が収率良く,かつ配座異性体の混在が認められない単一体として得られることが明らかになった.これにより得られたビスホスホリル化カリックスアレーンを用いて以下の検討を行った. ヨウ化サマリウム(Sml_2)の活性化剤としての検討 HMPAをはじめとするSml_2の活性化剤はいずれも,それらを添加することによりSml_2-THFの青色を紫色へと変化させる.ビスホスホリルカリックスアレーンの場合も同様にSml_2溶液を紫色へと変化させることから少なからず活性化剤としての効果が期待できた.そこでSml_2単独では非常に還元されにくいアリールブロミドを用いて活性化能をHMPAと比較検討した.HMPAの場合には数秒から数分で還元反応が終了するのに対し,ビスホスホリルカリックスアレーンでは数時間後もブロミドが残存することがわかった.この対応策として添加剤による活性化ではなく,光照射によりSml_2の活性化を補助する方法が有効であることを明らかにした. 疎水的空孔を反応場として利用する試み 臭素による置換位置の異なる2-および4-ブロモビフェニルをモデル化合物とし,Sml_2-THF-ビスホスホリルカリックスアレーン系における基質それぞれの還元されやすさを検証した.その結果,臭素がフェニル基と1,2の関係で並んで位置する2-ブロモビフェニルの方が還元されにくいことがわかった.
|