2003 Fiscal Year Annual Research Report
包接能を有する配位子を活用するヨウ化サマリウムの新規な反応系の開発
Project/Area Number |
14771258
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
日置 和人 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (70268522)
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Keywords | ヨウ化サマリウム / カリックスアレーン / 包接 / シクロデキストリン / 還元 / 配位子 |
Research Abstract |
前年度の研究により,ホスト分子をサマリウムイオンの配位子として利用するためにはビス(ジメチルアミノ)ホスホリル基の導入が有効であることを示した.しかしヨウ化サマリウム(Sml_2)の活性化という点では予想したほどの効果が認められず,可視光照射による活性化が必要となった. 今年度はこの活性化について更に検討を加えた.アリールプロミドの還元反応をモデルに,可視光照射,HMPA添加,および両者の併用という条件下でのSml_2の活性化の程度を脱ブロム化物の収量から求めた.その結果,HMPA添加はあまり効果が認められず,可視光照射では効果は認められるものの劇的な活性化は観察されなかった.一方,両者を併用した場合には,基質を添加する前にSml_2が完全に消費される,即ち配位子そのもが還元されることが分かった.生成物を確認したところフェノール性酸素とリンとの結合が解裂することが明らかになった.同条件下でHMPAは全く分解が認められないことから,ホスト分子の水酸基をアミノ基へ変換しリン酸トリアミド型の配位子とすればホスト配位子の分解を抑制できると考え,N-メチルアニリンより予試験モデルを合成し検討を行った.結果は期待したように光照射とHMPA併用による活性化条件においても配位子の分解を抑えることができ,脱ブロム化反応の収率も10%以上の改善をすることに成功した.一方,昨年度に合成したカリックスアレーン由来のホスト配位子のX線構造解析を行ったところ,NMRから予想されたようにCone型の立体配座をとることが明らかになった.サマリウムイオンに配位すると考えられる2つのホスホリル基の酸素原子は空孔の外側に向いていた為,先の実験で得られた基質選択性が実際に空孔を通しての結果であるのかが興味深い点であるが,現時点では明らかになっていない.今後更に,サマリウムとの錯体形成比を含めた検討を続けていく予定である.
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