2003 Fiscal Year Annual Research Report
α1-酸性糖タンパク質遺伝的変異体の立体構造と薬物結合性に関する研究
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14771263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 幸弘 京都大学, 薬学研究科, 助手 (60314225)
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Keywords | α1-酸性糖タンパク質 / 遺伝的変異体 / 等電点電気泳動 / キャピラリー等電点フォーカシング / MALDI-TOF-MS |
Research Abstract |
ヒトα1-酸性糖タンパク質のF1およびS variantの混合画分(FIS variant)およびA variantを固定化pH勾配等電点ゲル電気泳動(gel IEF)およびキャピラリー等電点フォーカシング(cIEF)に付した。Gel IEFではバンド位置とpH範囲から等電点を計算した。その結果、AGPの遺伝的変異体のうちF1、SおよびA variantのpI値はそれぞれ4.93、5.03、5.06と求められた。これらは非固定化gel IEFで得られた値と同一であり、等電点電気泳動用両性担体の固定化の有無は分析結果に影響を与えなかった。一方、cIEF(Servalyt4-6、リン酸-NaoH系)ではF1、SおよびA variantのpI値はそれぞれ4.98、5.12、5.14となり、gel IEFと異なる結果が得られた。cIEFでは自由溶液中での電気泳動であり、本来pI勾配が必ずしも線形でないこと、また仮に、線形であっても検出のためにモビライゼーションを行なう必要があり、その時に線形性が失われることが原因であると考えられる。今回は誤差の低減を目的としてタンパク質のpIマーカーに替わり低分子マーカーを用いたが、十分ではなかった。モビライゼーションの速度とピーク分離は電極液の種類に大きく依存するため、pH直線性・分離の両者を満たす電極液条件を最適化する必要があることが分かった。また別途に、gel IEFで得られた各variantを定法により還元アルキル化・ゲル内トリプシン消化し、MALDI-TOF-MS分析に付した。その結果、(1)S variantは20位がグルタミンではなくアルギニンである、(2)A variantは149位がシステインでなくアルギニンである、(3)F2 variantの156位はバリンではなくメチオニンであることが判明した。
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