2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子治療を目指した膜透過・チャンネル形成ペプチドのベクターとしての可能性
Project/Area Number |
14771267
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
和田 俊一 大阪薬科大学, 助手 (30278593)
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Keywords | ペプチドベクター / アンチセンスオリゴヌクレオチド / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
遺伝子治療における遺伝子導入ベクターの開発を目的として本研究を行なった. 1.ペプチドベクターのデザインと合成,アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)の細胞内導入の検討 チャンネル形成,膜透過機能を有する部位と静電的にオリゴヌクレオチドと結合する塩基性リンカー部位をデザインし,7種類のペプチド(P-1〜P-7)をFmoc固層合成法で合成した.P-1:Ac-U-N-I-I-U-P-L-L-U-P-I-K-K-K-K-K-K-K-K-K-K-OH;P-2:Ac-U-N-I-I-U-P-L-L-U-P-I-NH(CH_2)_2N(CH_3)_2;P-3:Ac-U-U-U-U-U-U-U-U-K-K-K-K-K-K-K-K-K-K-OH;P-4:Ac-U-U-U-U-U-U-U-U-P-K-S-K-R-K-V-OH;P-5:Ac-U-U-U-U-U-U-U-U-G-NH(CH_2)_2N(CH_3)_2;P-6:Ac-U-A-U-A-U-A-Q-U-L-U-G-U-U-P-V-U-B-E-Q-F-NH(CH_2)_2N(CH_3)_2;P-7:Ac-U-A-U-A-U-A-Q-U-L-U-G-U-U-P-V-U-B-E-Q-F-K-K-K-K-K-K-K-K-K-K-OH.蛍光ラベル化-AON/ペプチドを種々のモル比でプレインキュベーションし複合体を形成させ,AON/ペプチド複合体をNIH3T3,A549細胞に投与した.37℃,2hrインキュベーションした後,共焦点レーザー顕微鏡でAONの細胞内移行性及び細胞内分布を,フローサイトメーターで導入率を検討した.また,AON/ペプチド複合体の細胞毒性を乳酸脱水素酵素(LDH)の漏出を測定することにより行なったNIH3T3細胞では,AON/PI=1/10〜1/15の間で,AON/P7=1/10でLDHの漏出なしにAONの膜透過性が認められ,細胞質,核への分布が観察された.しかし導入率の点においては,リポソームベクターであるlipofectamineより低かった.またこの現象は,エンドサイトーシスが抑制される低温条件下でもAONの膜透過性が観察された.他のペプチドにおいては,AONの膜透過性は認められなかった.一方,A549細胞においては,すべてのペプチドで細胞毒性のない範囲内でのAONの細胞内への移行が観察されなかった. 2.物理化学的手法を用いたAON透過機構の解明 AON透過機構解析の基礎的な知見として,溶液中,リポソーム中でのP1,P7のコンフォメーション解析をCDスペクトルを用いて検討した.溶液中においては,両ペプチドともランダムコイル状態,一方リポソーム中ではヘリックス構造に変化することがわかった. 3.総括: 本ペプチドが従来のベクターとは異なったメカニズムでAONの細胞内導入を可能にしたことは,アンチセンス療法の発展に寄与できる可能性があると考えられる.
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Research Products
(1 results)